尾鷲 陛下の健脚、心遣いも 皇太子時代に熊野古道を案内 語り部・川口さんが思い出 三重

【天皇陛下を案内したときの写真を見ながら思い出を語る川口さん=尾鷲市朝日町で】

【尾鷲】今年で世界遺産登録15周年を迎える熊野古道伊勢路。1日に即位された天皇陛下は6年前、三重県尾鷲市と紀北町にまたがる熊野古道伊勢路・馬越峠を散策された。案内した同市朝日町の川口有三さん(76)は「同じ目線でお話ししてくださり、リラックスして案内することができた」と思い出を語る。

陛下は皇太子時代の平成25年5月、紀北町東長島の熊野灘臨海公園で開かれた「第24回全国みどりの愛護のつどい」に出席するため、3日間の日程で県入りされた。

馬越峠は、「熊野古道語り部友の会」副会長だった川口さん=現・同会顧問=と西尾寛明さんが案内し、鈴木英敬知事も同行した。通常、観光客には3―4時間かけて馬越峠を案内しているが、事前に「1時間半ほどで案内してほしい」と頼まれた。川口さんは、西尾さんと何度も馬越峠を歩いて時間通りに案内できるか練習したという。

川口さんは「どのようなご質問が出るかわからなかったのでいろいろと勉強して臨んだ」と述べ、「(陛下から)江戸時代の森林体系について質問があった。鈴木知事も東紀州地域の水産業や林業について説明していた」と当時の様子を振り返る。

陛下は持参されたデジタルカメラで植物や風景を撮影しながら2・5キロほどを1時間半で歩いた。息切れしておらず、川口さんが「どのようにして体を鍛えているのですか」と質問すると、「皇居の中を毎日ジョギングしています」と答えられたという。

馬越公園では、陛下から「私のカメラで写真を撮りましょう」と言われ、並んで記念写真を撮った。写真は後日、鈴木知事を介して川口さんの手元に届いた。「お心遣いがうれしかった」と顔をほころばせる。

昨年、全国高校総体(インターハイ)に出席するため来県した陛下は、関係者に「馬越峠を案内してくれた川口さんはお元気ですか」と尋ねられたという。そのことを県から聞いた川口さんは「大変驚いた。(5年前のことを)覚えていてくださっていて感激した」と喜ぶ。

平成が終わり、1日に新時代を迎えた。川口さんは「令和は平和で豊かな時代になってほしい」と期待している。