天皇陛下との深い御縁 ― 三重県知事寄稿

御即位以来、天皇陛下におかれましては皇后陛下とともに、広いお心と優しいまなざしで国民に接してこられました。とりわけ、被災者の手を握られ、励ましの御言葉を直接かけられるお姿を思いおこすと、感動で胸が熱くなります。

私は知事就任以来、全国戦没者追悼式や新年祝賀の儀に欠かさず参列していますが、陛下の常に変わらない誠実なお姿を拝見するたびに、わが国の平和と一層の繁栄のために力の限りを尽くしていく決意を新たにしているところです。

陛下と三重県との思い出は枚挙にいとまがありませんが、最も印象深いものの1つは皇太子殿下時代の昭和34年10月のことです。伊勢湾台風の被害が冷めやらぬ中、天皇陛下の名代として、被害状況をヘリコプターから御視察いただくとともに、三重県内の避難所を御見舞いになりました。御即位以来、すべての都道府県をくまなく御訪問になった陛下にとりまして、初めての被災地訪問であったとうかがっています。

陛下は地方の事情にも常に御心をお寄せくださいました。私は平成25年、「幸福実感日本一の三重をめざして~家族を支え、子どもを守る」と題して県勢概要についてご進講する機会をいただき、全国的にも先駆的な児童虐待対策などをご説明申し上げたところ、陛下は深い関心を示され、御熱心にお聴きくださいました。

また翌年(平成26年)、神宮式年遷宮後に御来県いただいた折に斎宮歴史博物館をご案内しましたが、歴代の天皇陛下と斎王との関係や斎王群行の模型など、多岐にわたる展示物等に深い関心を示されました。天皇皇后両陛下の御熱心なお姿を拝見した時、三重県の持つ文化や歴史、地域の魅力が素晴らしいものであると、改めて強く実感したことを鮮明に覚えています。

昨日(4月17日)から、御退位に向けて天皇皇后両陛下が三重県に行幸啓されています。天皇陛下として地方への行幸の最後の機会となられることから、光栄の極みであり、伊勢湾台風から60年の節目に当たることに深い御縁を感じています。「平成」という一つの時代を、常に国民に寄り添い歩んでいただいた陛下への感謝の気持ちや、「令和」という新しい時代を迎えることへの思いを、県民の皆様とともに共有したいと思います。

そして、国家・国民の象徴として、常に人々の幸せと平和を願われてきた陛下のお姿や御言葉を胸に、「平成」に続く「令和」が恒久の平和の時代となり、夢や希望に満ちあふれ、多様性や包容力を大事にする時代となるよう、責任ある行動でしっかりと取り組んでいきます。