<津市政の課題・下>どうなる一志病院 運営形態の議論なく

【運営形態の議論でゆれる県立一志病院=津市白山町南家城で】

三重県が県立一志病院(津市白山町南家城)を民間に移譲する方針を撤回してからおよそ2年。市と県が運営形態の議論に入らないまま時間だけが過ぎようとしている。平成30年度に両者の実務者レベルで協議する場を持つも、病院の運営は議論の俎上(そじょう)にすら載らなかった。議論が停滞する中、病院側が安心して医療を続けられるようトップによるリーダーシップの発揮が求められる。

一志病院の運営を巡っては、鈴木英敬知事が29年6月に方針を転換し「運営形態について県と市の役割分担も踏まえて方針を出したい」と表明。これ対し、前葉泰幸市長は「『病院の経営を一緒にやろう』というのは難しい」との認識を示した。

トップ同士の意見が食い違う中、津市と県、三重大による検討会が開かれたが、議論は進まなかった。結局、30年度に市と県の課長補佐級職員ら8人でワーキンググループ(WG)を開き、一志病院を中心とした医療・介護体制について話し合った。

ところが、WGでも運営形態の話は出なかった。それどころか市が提案した12項目についても議論が進まなかった。院内に地域包括支援センターを設置する案は改修工事費の問題で折り合いが付かず、白山保健センター内に設置したままとなった。

特に経費負担の考え方で「溝が大きかった」(県幹部)。県側は市が提案した事業への追加負担を市に要請。市側は「これまで委託してきた事業を具体化しただけで、担当部門や人員は変わらない」と考え、追加負担に難色を示した。

市は医師を確保するため、一志病院に美杉町内2カ所の診療所への医師の派遣を依頼している。市高齢福祉課の担当者は「病院に依存している部分がある」と認めつつ、「運営は県の仕事。我々は一志病院がなくならないように応援する」という姿勢を崩さない。

運営形態については5年後までに結論を出すことになっているが、県から市への正式な打診はない。市と県の協議についてもまだ予定が定まっていない。ある市職員は「トップ同士で責任ある結論を出してほしい」と話す。進まない議論に具体的な道筋を付けられるか、トップの手腕に注目が集まる。