<津市政の課題・上>合併で引き継いだ公共施設 莫大な行進費、重く

【建設が進む「久居アルスプラザ」の工事現場=津市久居東鷹跡町で】

三重県津市は平成18年1月に合併してから13年がたった。これまでに旧市町村が希望した施策に道筋を付け、潤沢な合併特例債を活用してスポーツ施設や文化施設を建設してきた。一方、旧市町村から引き継いだのは施策の要望だけではない。合併時に引き継いだ公共施設の6割が築後30年を経過。莫大(ばくだい)な施設更新費が市の財政に重くのし掛かり、施設の再編を迫られている。

津▽久居▽河芸▽芸濃▽美里▽安濃▽香良洲▽一志▽白山▽美杉―の10市町村が合併した際、各自治体は2つずつ新津市に実行してほしい施策を提案。合併後、市は子ども園の建設など20の施策に取り組み、合併時の約束を「おおむね達成できた」(市政策課)。

合併時の約束事に一定の道筋が付いた中、市に浮上した課題は膨大な公共施設の管理。10市町村の公共施設を引き継ぎ、市は28年3月時点で1118施設を保有することに。延べ床面積は約110万9千平方メートルで、6割がすでに築後30年以上を経過している。

市の人口に対して多すぎる公共施設で、利用率も低い。市民1人当たりの延べ床面積は3・93平方メートルで人口25万人以上の自治体の平均1・92平方メートルの2倍を超える。市内9カ所の文化ホールは市主催事業での利用が中心で、利用率は約3割にとどまる。

市の試算では、老朽化した公共施設の建て替えや改修のためににかかる更新費が平成28年度から40年間で総額4688億9千万円に上る。年間約117億2千万円が必要で、市の平均更新費の1・8倍に当たり、半数は更新できない。

それでも市は合併時の約束を守るため、同市久居東鷹跡町に新たな文化ホール「久居アルスプラザ」を建設する。市財産管理課の担当者は「文化ホールは地域のシンボル。地域の核となるよう運営する」と理解を求める。料金体系を見直すなど利用率の改善も図る。

ただ、施設数が財政規模に見合っていないのは事実。市は29年度以降、公共施設を再編し、施設を削減している。市産業・スポーツセンター「サオリーナ」がその一例だ。施設完成後、市民プールや体育館を廃止した。あのう温泉のように再編の過程で住民の署名運動が起こる場合もある。同課の担当者は「再編で紛糾が起こるのは当たり前。住民の意見を聞きながら再編を進めたい」と話す。

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任期満了(25日)に伴う津市長選の告示を14日に控える。今のところ立候補を表明しているのは現職の前葉泰幸氏(57)のみで、2期連続の無投票となる公算が大きい。ニ回の連載で市の課題を探った。