<鈴鹿市政の課題>交通空白地の対策急務 新移動手段導入へ模索

【公共交通として市民の移動手段の1つとなるCバス=鈴鹿市木田町のJR河曲駅で】

鈴鹿市高岡台の住宅団地。中でも最初に開発された三丁目は現在、住民の高齢化が進む。沿線の近鉄四日市駅と鈴鹿市駅を結ぶ三重交通バス路線「鈴鹿・四日市線」が利用者数の減少で廃止されて1年が経過し、公共交通空白地域となった同地の高齢者らが、日常生活での困難を訴える。

同住宅団地に住む川村チサ子さん(83)は「以前は自転車を使っていたが、今は足が悪いのでどこにも行けない」と話し、食料品などの購入はスーパーの宅配サービスを利用する。

4級の障害を持つ大貫良子さん(76)は事務手続きのため、定期的な市役所訪問の必要がある。自宅から市役所までは約4キロ。自動車なら10分もあれば移動できる距離だが、「JRで河原田から河曲まで行き、市のコミュニティバス『Cバス』に乗り換えようとしても、乗り継ぎの時間が合わない」。市役所まで歩いたこともある。

加藤和夫さん(90)は医者から毎日の通院を勧められるが、移動手段の確保が困難なため、3週間に1回しか病院に行くことができない。「移送距離が少ないからか、タクシーを頼もうにも予約があると言って断られることが多い」と打ち明ける。

市の交通政策は平成22年策定の「同市地域公共交通総合連携計画」に基づき、既存の鉄道や路線バス、Cバスが互いの役割を保管しながら進めてきた。おおむね10年を見据えた計画であることから、現在は新たな計画策定に向けた取り組みが進む。

市の交通需要も高齢化による移動困難者の増加や、それに伴う交通インフラのバリアフリー化、小規模需要に対応した新たな交通サービスの需要など、10年前とは大きく変化してきた。

必要な公共交通サービスを受けることができない「公共交通空白地域」は現在、鉄道駅やバス停から半径1キロ以遠の地域を指すが、同1キロ未満に見直しを検討。「これまでは国の補助基準に合わせて定義してきたが、バス停までの半径距離を見直し、より現実的な区域の設定にしていく」という。

市の定義が変わると、今後公共交通空白地域の範囲はより拡大するが、厳しい財政状況の中、Cバスの新たな路線への投資は維持が難しいことから見込めない。市は「必要とする地域が主体となるシステムでないと長続きしない」「究極はやはりタクシーのドアtoドア」と考え、新たな交通手段の確保に向けた選択肢として乗合タクシーや地域の支えによるボランティア輸送、民間企業のバス運行サービスを挙げる。他市の先進的な事例を参考に、実現性に向けた模索が続く。

「鈴鹿は住みやすいまちだと思って引っ越してきたけれど、住みにくい」と落胆する市民の切実な声を、市が目指す将来都市像「みんなで創り育み成長しみんなに愛されるまち鈴鹿」に反映させることができるのか。

任期満了(4月30日)に伴う鈴鹿市長選は14日に告示、21日に投開票される。現時点で立候補を表明しているのは、3選を目指す現職の末松則子氏(48)以外になく、12年ぶりに無投票となる公算が高い。