三重県知事選、初の「同じ名字」対決 両候補、「名前」を連呼

【選挙カーから手を振る鈴木加奈子候補(右)と鈴木英敬候補=21日、津市内で】

任期満了(4月20日)に伴う知事選は、新人で元玉城町議の鈴木加奈子候補(79)=共産推薦=と現職で三選を目指す鈴木英敬候補(44)=自民、公明推薦=(届け出順)が舌戦を繰り広げているが、気になるのは候補者名が同じ「鈴木」だということ。知事選では県政史上初の事態。両候補者は名前を連呼するなどして対策に努めており、県選管も「フルネームで投票してほしい」としている。

「現職知事も鈴木でございますので、お間違いのございませんように必ず加奈子とお書き下さいますようよろしくお願いします」。鈴木加奈子候補が21日の出陣式で開口一番に訴えたのは「名前」だ。

陣営は鈴木加奈子候補の擁立が決まった時点から「同じ名字」への対策を検討していた。ポスターや選挙カー、チラシは名字よりも大きく「かなこ」と表記。名前を際立たせるため、ひらがなにしたという。

陣営のスタッフらは、候補者を「鈴木さん」ではなく、あえて「加奈子さん」と呼ぶ。スタッフの一人は「現職との違いを明確にできることに加え、同時に女性であることも強調できる」とメリットを説く。

対する鈴木英敬候補の陣営も「名前」を意識している。小菅弘正後援会長は出陣式で「図らずも二人とも鈴木さん。鈴木英敬とお書きいただきたい」と要請。候補者も「鈴木英敬、英敬、英敬」と連呼した。

「同じ名前」が笑いを生む場面も。県土地改良事業団体連合会長の亀井利克名張市長は22日の総会で、来賓の鈴木英敬候補を「鈴木で止まったらあきません。鈴木英敬知事」と紹介し、笑いに包まれた。

名前の違いを明確にするため、鈴木英敬候補の陣営は4千枚を超える選挙ポスターを貼り替える方針だ。現在のポスターは名字と名前が同じ大きさだが、陣営関係者は「次は名前の方を目立たせる」と話す。

県選管によると、知事選の立候補者が同じ名字となるのは、昭和22年の第一回以降で初めて。ちなみに平成28年2月の神奈川県藤沢市長選でも、立候補した三人のうち二人が「鈴木」だったという。

今回の知事選で投票用紙に名字だけを書いた場合、どうなるのか。公職選挙法は「氏または名のみを記載した投票は有効」と定めている。今回のようなケースでは、候補者の得票に応じて案分されるという。

一方、フルネームでなくても候補者が判別できれば案分せずに特定の候補者の得票となる。県選管は開票作業をスムーズに進めるため、どのような場合に特定の候補者に対する得票とするかを検討している。

とはいえ、次の県政を担うリーダーを決める重要な選挙。有権者が選んだ候補者の一票となるのが望ましい姿だ。県選管は「投票所の記載台に貼り付けた候補者名の通りに書いてほしい」と呼び掛けている。