三重県議会 犯罪被害者支援条例を可決 都道府県で初の見舞金

【鈴木知事(左)と面会する寺輪さん(手前)=三重県議会議事堂で】

三重県議会は15日の2月定例月会議本会議で、被害者支援の基本理念や県の責務などを定めた犯罪被害者等支援条例を全会一致で可決した。この条例に基づき、県は全国の都道府県として初めて犯罪被害者に見舞金を送る制度を設ける。4月1日から施行する。

朝日町で平成25年8月に起きた事件で亡くなった寺輪博美さん=当時(15)=の父、悟さん(50)が昨年6月、条例の制定を求める手紙を鈴木知事に送ったことがきっかけ。鈴木知事は同8月の定例記者会見で、年度内にも条例を制定する考えを示していた。

条例の基本理念は「被害者の尊厳を重んじ、処遇が保障される権利を尊重する」とし、県の責務として相談体制の整備や就労の支援、雇用の安定などに取り組むと定めた。県民や事業者に対しても、支援の必要性を理解して県の施策に協力するよう求めている。

このほか、同じ加害者から再び危害を受ける再被害や、プライバシーの侵害や中傷といった2次被害を防ぐため、必要な施策を講じると明記。犯罪によって従来の住居に住めなくなった被害者に対し、県営住宅を優先的に提供することも定めている。

条例の施行に合わせて設ける見舞金制度では、犯罪によって死亡した被害者の家族に60万円、重傷の被害者に20万円、精神療養が必要な被害者に5万円を支給。本会議で可決された平成31年度一般会計当初予算には800万円の見舞金を計上している。

県によると、全国の14道県が既に犯罪被害者を支援する条例を制定しているほか、17府県が他の条例などに支援の項目を盛り込んでいる。見舞金は昨年4月時点で県外の200市区町村が設けているが、都道府県としての設置は三重が初となる。

悟さんはこの日、本会議場で採決を見守った後、鈴木知事と面会。「こんなに早く制定してもらい、ありがたい」と述べ、感謝の意を伝える手紙を鈴木知事に手渡した。鈴木知事は「職員が一丸となって取り組んだ。これからもしっかり寄り添いたい」と語った。

この後、悟さんは報道陣の取材に「(手紙を出してから)わずか9カ月で条例案が通ったのは、大勢の方が支えてくれたおかげ。娘も喜んでくれると思う。ここからが始まりだと思っている。残された遺族の思いを伝えていきたい」と話していた。