三重県議会一般質問 低所得賃貸住宅の登録6戸 2025年目標1200戸程遠く

三重県議会2月定例月会議は26日、彦坂公之(能動、2期、鈴鹿市選出)、芳野正英(新政みえ、1期、四日市市)、野口正(自民党県議団、1期、松阪市)、山本勝(自民党、5期、桑名市・桑名郡)の4議員が一般質問した。入居拒否を受けることが多い一人暮らしの高齢者や低所得者に賃貸の空室を配分する「住宅セーフティネット制度」で、県は低所得者らの入居を拒まない民間の賃貸住宅の登録が平成29年10月の受け付け開始から今年1月末までで6戸にとどまっていると明らかにした。2025年の目標の1200戸を大幅に下回った。登録住宅を増やすため、廃止された以前の制度に登録していた家主に新制度への登録を促す。

◆「若者流出県」対策は ― 彦坂 公之議員(能動)

「人口の県外流出に歯止めが掛からない」とし、県の認識を尋ねた。鈴木知事は1月に発表された人口の移動に「明るい兆しはある」とする一方で「転出超過数は過去10年間で最多。一層の危機感を持って着実に進める」と述べた。

【転出超過】
彦坂議員 県内では2年連続で転出超過の人数が4千人を超え、人口の県外流出に歯止めが掛からない。転出は15―29歳の若者が8割を占め、残念ながら「若者流出県」の一つとなっている。どのように捉えているのか。

知事 1月に公表された住民基本台帳人口移動報告によると、平成30年の転入者数は3年ぶりに増加に転じ、若者の転出超過数は減少している。今回の結果に明るい兆しはあるが、転出超過数は過去10年間で最多。一層の危機感を持って着実に進める。

【事業継続計画】
彦坂議員 BCP(事業継続計画)を策定している中小企業が少ない。県も策定に向けた支援策を進めているものの、企業がBCPを策定しないことのリスクに対する認識も低いと思われる。今後どのように対応するのか。

村上雇用経済部長 中小企業庁の調査によると、BCPを策定した中小企業はわずか16・9%。従業員が少ないほど、その割合は低下する。来年度は三重版経営向上計画の経営課題に防災減災の視点を加え、事業継続を考慮した経営計画の作成を促進したい。

◆住宅登録制度周知を ― 芳野 正英議員(新政みえ)

一人暮らしの高齢者や低所得者らの住まいを確保する「住宅セーフティネット制度」で、入居を拒まない賃貸住宅の登録が6戸にとどまっていることを「あまりにもさみしい」と批判。制度の周知を求めた。

【民間賃貸住宅】
芳野議員 住宅確保要配慮者向けの民間賃貸住宅の登録状況は。

渡辺県土整備部長 フォーラムを開催し、登録手続きを簡素化したことや登録手数料を無料化したことなどを説明した。しかし、今年1月末時点で6戸にとどまっている。従前制度の家主にも働き掛け、新たな登録制度への移行を図る。

芳野議員 6戸というのはあまりにもさみしい。周知の方法や具体的な取り組みを考えてほしい。

渡辺部長 不動産関係団体などでつくる居住支援連絡会を中心に周知を図り、登録住宅を広げたい。

【資源管理制度】
芳野議員 漁業法とTAC(漁獲可能量)制度が改正された。海洋生物の資源管理への影響は。

岡村農林水産部長 県内では沿岸魚種を中心に科学的根拠に基づく高い資源評価が必要。漁業者に周知し、資源管理に努めたい。

芳野議員 県の計画では、中型以上の漁業者は漁獲可能量が増加するが、小規模漁業者は現状維持となっている。不公平では。

岡村農林水産部長 漁業の持続可能性を維持するには資源管理が必要。精査して検討する。

◆国道不通で説明不足 ― 野口 正議員(自民党県議団)

昨年9月の台風24号による通行止めから解除に約2カ月を要した松阪市の国道166号について、情報提供での反省点を尋ねた。県当局は「解除の時期を確定できず、十分に対応できなかった」と振り返った。

【大口港】
野口議員 津松阪港の大口地区(松阪市大口町)では岸壁の老朽化が進み、不安の声も上がっている。現場は埋め立て地で地盤沈下の懸念もあり、近年では大雨によって土砂も堆積している。対策は実施しているのか。

渡辺県土整備部長 対象となる390メートルのうち216メートルの岸壁を更新した。残る区間の工事も着実に進める。地盤沈下の恐れがある部分は建設時に地盤改良工事を実施した。現況で沈下はないが、定期的にパトロールしている。浚渫も必要に応じて実施している。

【情報提供】
野口議員 国道166号の通行止めに対し、地域ではうわさや各自の解釈が漂った。確かに情報提供の点でいかがかなものかと思った。行政に関係しない人に対する情報提供に不足した部分もあったのでは。反省すべきところは。

渡辺部長 長大かつ急な斜面が大規模に崩落したことなどから、早い段階で解除の時期を確定できなかった。県民から「詳しい説明がない」との意見もいただき、十分に対応できなかった。解除の時期を変更する可能性も含め、今後は早期の情報提供に努めたい。

 

◆糖尿病増加に対策は ― 山本 勝議員(自民党)

県内で糖尿病患者が増加していることから、県の対策や知事の意気込みを尋ねた。鈴木知事は糖尿病を含む生活習慣病を予防するため、来年度、新たに「三重とこわか県民健康会議(仮称)」を設置し、社会全体で健康づくりに取り組む機運を醸成すると明かした。
【糖尿病対策】
山本議員 糖尿病の患者が患者が増加している。糖尿病対策への意気込みは。

知事 来年度、県では「三重とこわか県民健康会議(仮称)」を設置し、社会全体で健康づくりに取り組む。糖尿病対策では、病気の進展予防と管理を徹底する基本的なプログラムを昨年度に策定した。このプログラムに基づき、県医師会や県保険者会議などと協定を締結し、地域の取り組みを促進している。保健師や看護師、管理栄養士の人材育成にも取り組む。

【事業承継】
山本議員 地域経済を支える中小企業では経営者の高齢化が進み、事業承継が近々の課題。1年間の取り組みの成果は。

村上雇用経済部長 平成29年8月に県事業承継ネットワークを中心に、事業承継の段階に応じた支援をしている。事業者への事業承継診断は今年1月末時点の累計で目標を上回る3694件実施し、事業承継に取り組むきっかけづくりが進む。診断などで掘り起こした支援ニーズに基づく専門家の派遣など個別の事業者支援の充実に取り組み、事業承継の成功事例を発信していく。

<記者席>〝大人の事情〟さまざま

○…今期限りで引退する彦坂議員は最後の質問。議員定数を巡って新政みえから能動に移った理由を「大人の事情」と表現し、議場を沸かせた。

○…続く芳野議員も今回が最後。参院選に向けて今期で引退することを「別の大人の事情」と説明し、別会派に移った先輩議員の言葉を借りた。

○…ただ、ICT教育のくだりでは「彦坂議員が質問したプログラミング教育もやりたかった」とぽつり。ここにも“大人の事情”が働いたか。

○…一般質問は松阪木綿のネクタイで臨む野口議員だが、この日は「妻がくれたネクタイ」。母の誕生日でもあり、非日常感を演出したようだ。

○…一方で「花粉でのどがガラガラ。聞きづらいかも」とわびると、同僚議員からは「普段から」と突っ込み。声の方は「いつも通り」だった。