三重県 新年度当初予算案発表 一般会計7006億円、3年ぶり増

【記者会見で平成31年度当初予算案を発表する鈴木知事=三重県庁で】

三重県は12日、平成31年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比0・5%(37億7500万円)増の7005億8400万円で、3年ぶりに増加。4月に知事選を控えていることから「骨格的予算」としつつも、防災など「喫緊の課題」は新規事業でも計上した。企業の好調な業績を背景に法人関係の税収が過去最高となり、初めて1千億円の大台に。一方、前年度に続いて県債返済に向けた積み立てを見送る〝禁じ手〟で財政難に対応した。14日の県議会2月定例月会議本会議に提出する。

「公共事業を前年度比で8割程度とするなど、骨格的予算で編成した」(財政課)というが、新規事業でも4月からスタートするものについては当初予算案に盛り込んだ。選挙後に新知事が担う「肉付け」は、6月補正予算で約180億円の追加を見込む。

「防災減災、国土強靱化の3か年緊急対策」と銘打つ国からの交付金が予算規模を押し上げた。総額は約102億円で、うち実質的には3分の1が県の負担となる。この交付金を除くと、一般会計は前年度比0・9%減の約6903億円にとどまる。

「観往知来」と称する総額594億3千万円の「防災減災パッケージ」を策定した。うち一般会計は476億100万円。洪水被害の軽減を目的とした河道掘削や橋梁の改築、土砂災害を防ぐえん堤や擁壁の整備といったハード面の対策が多くを占める。

ソフト面では、洪水や高潮の浸水想定区域図を作成する費用などを計上。伊勢湾台風60年、昭和東南海地震75年の節目を迎えるに当たり、過去の災害を振り返る事業にも充てる。国から交付される「3か年緊急対策」の全額が、このパッケージに含まれる。

2年後に迫る三重とこわか国体・とこわか国体(全国障害者スポーツ大会)の関連経費として15億600万円を計上。スポーツ施設の整備をはじめとする開催準備に8億1300万円、国体の天皇杯獲得に向けた競技力向上に9億9100万円を充てる。

このほか、国体に向けて2億円を積み立てて総額を15億円とするが、100億円以上と見込まれる開催経費には届かない。このため、県はRDF(ごみ固形燃料)発電事業の終了に伴う電気事業会計の清算金を充てたい考えだが、清算の時期は決まっていない。

「依然として極めて深刻」(財政課)とされる財政状況を受け、借金返済に充てる県債管理基金への積み立てを見送った。31年度は67億円を積み立てる予定だった。過去2年間で見送った分を含めた134億円を将来的に積み立てる必要がある。

特別会計と企業会計を含めた総額は0・8%(92億4600万円)増の1兆1010億200万円で、2年連続で1兆円を超えた。一方、満期の県債を借り直す借換債を除く実質的な比較では、3億4千800万円減の1兆317億9700万円と微減した。

鈴木英敬知事は12日の記者会見で「基礎を固める」との意味を表す老子の言葉を引用して「深根固柢」と命名。「骨格的予算」としつつも予算規模が増加したことには「誰が知事になっても防災減災を進めないわけにはいかない。適格に対応した」と述べた。

借金返済の積み立てを見送ったことについては「総務省からも着実な積み立ての指針が出る中で、大変残念」としつつも「積み立てなければ即座に影響が出るというわけではない。県民サービスを停滞させないよう、見送りの判断をした」と述べた。

◆解説 ― 再び〝ツケ払い〟将来に募る不安◆

県が「全容の発表までは明かせない」としていた予算編成の裏にあったのは、借金返済に向けた積み立ての先送りだった。前年度に続く〝禁じ手〟は、将来への負担を確実に増やすことになる。

積み立ての目的は、平成22年度から200億円を発行し続ける市場公募債の安定的な返済にある。返済は32年度から始まり、以降は毎年度の予算で67億円を返済しなければならない。

現時点で234億円の積み立てがあるが、このまま積み立てを先送りにすれば3年後には底をつき、市場公募債を返済できなくなる。「何があっても避けなければならない事態」(財政課)という。

にもかかわらず、県は31年度予算でも積み立てを先送りにした。全額の見送りは2年連続、積み立ての一部を見送ったケースを含めると3年連続。これまでに先送りした積み立ては134億円に上る。

県当局は相応の危機感を持っているとは思えない。財政課は「他県でも同様の事例はある」などと説明。着実な積み立てを求める総務省からの通知に対しても「法的拘束力はない」とあしらう。

企業庁からの借り入れや環境保全基金からの繰り出しなど、異例の対応が続く県の予算編成。県民の安全安心は最優先だが、それによる財政難も県民を不安に陥れる。財政難こそ「喫緊の課題」だ。