
【尾鷲】懐にオコゼを抱えて大笑いする神事「山の神」が7日、三重県尾鷲市矢浜の桂山であり、氏子13人が豪快に笑い声を上げ、豊作や健康を祈願した。
神事は200年以上続くとされる。山の神は女性とされ、女人禁制の行事。
地元の民話によると、山の神と海の神が手下の数を競い、同数で引き分けに終わろうとした時、海からオコゼが現れ、海の神が勝った。負けた山の神の怒りを鎮めようと、村人らがオコゼを見せながら「こんなに醜いオコゼは魚の仲間ではありませんよ」と大笑いした。山の神は機嫌を直し、春になると、里に下りて田畑を守ると伝えられている。
氏子らはほこらにスギの木で作ったくわや長刀などの道具、カツオの切り身や甘酒などを備え、代表者が「オコゼでござる」と述べ、懐に忍ばせたオコゼを見せると「わーはっはっは」と笑い飛ばした。
オコゼを見せる当人を務めた楠正司さん(75)は「今年は災害のない年になるようにお願いした」と話した。