「県政の重責担う決意」 鈴木知事が出馬表明 三重県知事選へ、3選目指す

【3選出馬を表明する鈴木知事=三重県議会議事堂で】

鈴木英敬三重県知事(44)は17日の県議会定例会で「あらためて県民の負託をいただけるのであれば、引き続き県政の重責を担わせていただく決意をした」と述べ、任期満了(4月20日)に伴う知事選に3選を目指して立候補すると表明した。自民、公明両党の推薦を受ける方針。知事選には、市民団体「県民本位のやさしい三重県政をつくる会」が擁立した元玉城町議の鈴木加奈子氏(79)も共産党の推薦で立候補を予定している。

鈴木知事は本会議で発言を申し出た上で、伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)、全国菓子博覧会(お伊勢さん菓子博)、全国高校総体(インターハイ)の開催や観光入込客数などの実績を強調した。

その上で「私自身も少しばかり、それらに貢献させていただけたのではないかと思う。他方、地域の要望に十分お応えできていないものや道半ばの諸課題も多々あると認識している」と話した。

出馬を決めた動機に、防災減災対策の深化▽県の知名度と経済の向上▽「オール三重」で県の新たな時代を切り開く▽包容力と多様性を進める政策の推進▽不祥事や不適切事務、財政の改善―を挙げた。

防災では、今年は伊勢湾台風から60年、昭和東南海地震から75年の節目に当たると説明。「今こそ防災減災対策の仕上げやさらなる深化のため、全力投球すべき時だと考えている」と述べた。

三重とこわか国体・とこわか大会や東京オリンピック・パラリンピック、リニア中央新幹線の県内駅決定といった知事選後の予定を挙げ、「多くのチャンスを迎え、県の元気に貢献すべき時だ」と語った。

締めくくりに「県民のために努力することや県を愛することには誰にも負けないと強く思っている」と強調。「今後も県民のために粉骨砕身、あらん限りの力を振り絞り、全力を傾注する覚悟」と語った。

鈴木知事は兵庫県出身で東大経済学部卒。経済産業省の職員を経て平成21年の衆院選三重2区に出馬し、落選。23年の知事選で全国最年少知事として初当選し、27年に再選した。

◆鈴木知事、出馬所信表明全文 ― 初心「防災・経済」に全力

議長のお許しをいただきましたので、この際、今春の知事選挙につきまして私の所信を申し述べます。少々お時間きますがご容赦賜れればと存じます。

まず、約7年9カ月の間、県議会の皆様や県庁職員を始め、県選出国会議員、市町長、関係団体、各地域のリーダーの方々など、そして何より多くの県民の皆様から、県政へのお力添えを頂いたことに深く感謝申し上げます。

この間、2期目だけでも、G7伊勢志摩サミット、菓子博、インターハイなど、数々の三重県の歴史に残ることに携わらせていただきました。また、多くの県民の皆様のご努力のおかげで、過去最高を記録した県内総生産や観光入り込み客数、実質経済成長率全国2位、1人当たり県民所得全国3位など、三重県の発展につながる成果もたくさん生まれ、私自身も少しばかりではありますが、それらに貢献させていただけたのではないかと感じております。他方、地域の方々のご要望に十分お応えできていないものや道半ばの課題も多々あると認識しています。

任期も終盤に迫る中、次の4年間、私が知事という職を引き続き担わせていただくための挑戦をすべきか、慎重に検討を重ねて参りました。四点、申し上げます。

まず一点目。東日本大震災1カ月後に就任し、就任5カ月後に紀伊半島大水害を経験した、私の「初心」の1つは、まぎれもなく、三重県の防災・減災対策を徹底して行い、県民の皆様の命や暮らしを守ることです。次の4年間には、その2つの災害から10年という大きな節目を迎えます。今年は、日本の災害史を塗り替えた伊勢湾台風から60年、併せて昭和東南海地震から75年の節目です。折しも、本日1月17日は、私自身の知人の命も奪われた阪神淡路大震災が発生した日です。来年は25年の節目です。さらに、今年から3年間、国を挙げて、防災・減災・国土強靭化に集中的に取り組むとされており、三重県としてもそれらの機会を活用し、しっかり取り組まねばなりません。今こそ、あらためて初心を貫き、さまざまな節目の機会も生かし、東日本大震災や紀伊半島大水害からスタートした防災・減災対策のソフト・ハード面での仕上げやさらなる進化のために全力投球すべき時であると考えています。

もう一つの重要な「初心」は、さまざまなチャンスを生かし三重県の知名度や経済を向上させ元気にすることです。「営業知事」と表現したこともあります。次の4年間は、「三重とこわか国体・とこわか大会」や東京オリンピック・パラリンピックの開催、リニアの三重県内駅やルート決定に向けた重要な時期、新名神高速道路開通、四日市港120周年、中部国際空港におけるLCCターミナル完成など、あらためて、三重県が知名度を高め、発展するためのチャンスがたくさんあります。私は「チャンスは貯金できない」という言葉が好きです。多くのチャンスを迎え、今こそ、あらためて初心を貫き、三重県の元気に貢献すべき時であると考えています。また、リーマンショックによる経済低迷から、県内事業者の皆様が、懸命に努力していただいた結果、先程述べたような経済状況までこぎつけましたが、今年は、消費税増税があります。過去の消費税増税の影響は地方のほうが大きくなります。良い流れを断ち切るわけにはいきません。三重県経済を沈ませるわけにはいきません。

二点目です。元号が改まり、平成のその次の、新たな時代の幕開けが目前に迫っています。人口減少はもちろん、これまでの時代にない経済社会の変化が訪れることを見越せば、これまでの、昭和や平成における成功体験のみに頼るのではなく、あらゆる分野で、新たな時代のモデルを果敢に作り上げていかねばなりません。例えば、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、2042年には団塊ジュニア世代が65歳以上となる高齢化のピークを迎えます。これらは、まさに、平成の次の時代の間に起こることです。この時期の舵取りを間違えば、三重県が新たな時代の変化に対応できず、県民の皆様が笑顔で安心して幸福に暮らしていただけることに支障が出かねません。2期目は、「オール三重」という言葉を多く使いました。G7伊勢志摩サミットやインターハイなど、県民の皆様の力を結集していただき、「オール三重」による取り組みの結果、いずれも大成功となりました。今こそ、近年の「オール三重」で培った経験やレガシーを生かし、県民みんなで力を合わせ、新たな時代の三重の未来を切り開いていく時であり、私自身もこれまで「オール三重」の先頭に立たせていただいた経験を存分に生かし、貢献させていただきたいと考えています。

三点目です。私は、三重県民の皆様の誇るべき特質や優位性は、「包容力」「多様性」だと思います。日本の、世界の、先進的な存在となり得ると感じています。平成の時代は、「孤独」と「つながり」が輻輳(ふくそう)した時代でした。それは、平成の次の時代も変わらないでしょう。共感性を高く持ち、他人の痛みを感じ、いたわり、助け合う、そして、どんな文化や価値観の違う人に対しても、理解し、包み込む。約8年間、児童虐待、家庭養育の推進、いじめ防止、障害者雇用の推進、地域医療、少子化対策、発達支援、動物愛護、多文化共生など、県民の皆様とともに、「包容力」や「多様性」を大事にする政策に取り組んでまいりました。道半ばのものもあることも踏まえ、今こそ、これからの時代にさらに重要となる「包容力」「多様性」を深化させる取り組みを、優位性のあるこの三重県から行っていき、新たな時代の全国の先駆けとなっていくべき時であると考えております。

四点目です。特に2期目の4年間、県庁や学校現場において、度重なる不適切事務や不祥事が生じました。また、2期目を通じて、大変厳しい財政状況でもありました。それらへの対処は決して先送りすることはできません。県民の皆様からの信頼回復、財政健全化という、県行政の根幹をなす部分について、今こそ、しっかりと改善へ道筋をつける時であると強く思っています。

以上、申し上げましたような四点について、「今こそ、その時」との思いから、来る知事選挙に3度目となる出馬をし、あらためて、県民の皆様から負託を頂けるのであれば、引き続き県政の重責を担わせていただく決意を致しました。

私は、年齢も若く、政治や人生の経験も多くありません。才能や経験という面でいえば、優れた方はたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、三重県民のために努力をすること、三重県を愛することにおいては、これまでも、これからも、きっと誰にも負けない、そう強く思っています。今後も、県民の皆様のために、粉骨砕身、あらん限りの力を振り絞って、全力を傾注してまいる覚悟です。どうか議員の皆様を始め、県民の皆様のご理解とご協力を引き続き賜りますよう心からお願い申し上げまして、私の所信の表明とさせていただきます。ありがとうございました。