亀山市・文化財工事巡る汚職事件 加重収賄で懲役2年求刑 三重

亀山市指定文化財「松風山福泉寺楼門」(三重県亀山市東町一丁目)の修理工事を巡る指名競争入札で便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、加重収賄の罪に問われた元同市生活文化部次長、嶋村明彦被告(57)=同市関町=の初公判が27日、津地裁(田中伸一裁判長)であり、嶋村被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役2年、追徴金20万円を求刑し、即日結審した。判決は来年1月31日に言い渡される予定。

検察側は論告で、「市から多額の補助金を交付する修理工事の修理業者が適正に選定されるよう、入札の立会人を務めながら自ら電話を掛けて差し替えを認める明白な職務上不正な行為をした。長く文化財の保護に関する職に従事し、職員を指揮監督する立場で少なくない現金まで受領していて、公務員の公正さに対する社会一般の信頼が著しく損なわれた被害結果は重い」と指摘した。

弁護側は最終弁論で、「随意契約でも容易に目的を達することができたのに事前に指名競争入札を施主に提案するなど、犯行は計画的ではなく衝動的なものだった」と主張。金銭目的の犯行ではなく受け取った金額が多額ではないこと、それまで文化財保護事業に誠実に従事していたことなどから執行猶予を求めた。

論告などによると、嶋村被告は29年6月29日、市の補助事業「松風山福泉寺楼門修理工事」の入札を指導監督する市文化振興局長として入札に立ち会い、知人の宮大工男性に入札参加業者の最低価格を教えて入札書を差し替えさせ、男性の代理業者に落札させた。見返りとして、同7月11日に同寺付近の路上で男性から現金20万円を受け取ったとしている。

◆思いに応えるため 犯行動機語る
亀山市指定文化財の修理工事を巡る贈収賄事件の初公判。スーツ姿で出廷した元同市生活文化部次長、嶋村明彦被告(57)は犯行動機について問われた被告人質問で、「施主である住職の思いに応えないといけないという思いが、公平にしないといけないという思いを上回った」と答えた。

検察側の冒頭陳述では、修理工事を担当する業者の選定方法について、嶋村被告自身が従来の随意契約ではなく指名競争入札を施主である福泉寺の住職に提案したことが明らかとなった。嶋村被告は提案した理由について、「工事規模が大きく、国からの交付金が一部入ることもあって手続きを公平なものにしたかった」と説明した。

一方、嶋村被告に便宜を図るよう求めた宮大工の男性=贈賄罪で罰金50万円の略式命令を受け納付済み=は同寺の庫裏を修理した経緯から、同工事も請け負う意欲を嶋村被告や住職に伝えていたという。文化財保護活動を通じて男性と親交があり、技術を信頼していたことから、嶋村被告は予定していた入札に参加するよう伝え、男性が依頼した元請け業者を含む5社を入札に参加させた。

嶋村被告は被告人質問で、「開札の時点では犯行は考えていなかった」と述べた。しかし男性とは別の業者が最低価格を示した入札結果を見た住職が「困惑した表情を見せた」ため、「住職の思いと全く違う結果となって申し訳ない」と考え、男性に価格を伝えて入札書を差し替えさせることを住職に提案したという。

男性からその後に現金が入った封筒を差し出され、一度は断るも謝礼と認識して受け取ったと説明。「多くの方にご迷惑をおかけして大変申し訳なく思う」と謝罪の言葉を口にした。