日本・クロアチア外交樹立25周年 西井さんが記念演奏会 伊勢の女性ピアニスト 三重

【16日にクロアチアの首都ザグレブで、日本とクロアチアの外交関係樹立25周年を祝う記念ソロコンサートに出演する西井さん=伊勢市神田久志本町で】

【伊勢】日本とクロアチアを拠点に演奏活動を続ける女性ピアニストが三重県伊勢市にいる。クロアチアでは誰もが知る女流作曲家ドラ・ペヤチェヴィッチ(1885―1923)のピアノソロ作品全曲を収めたCDを、世界で初めて出版した西井葉子さん(43)=同市神田久志本町=。16日には日本とクロアチアの外交関係樹立25周年記念ソロコンサート(在クロアチア日本大使館主催)に出演し、ペヤチェヴィッチの「ばら」など9曲を演奏する。

西井さんは平成10年、慶応義塾大文学部仏文学専攻を卒業。4歳からピアノを始めたが、日本では音大を出ていない。慶応大在学中に偶然読んだ音楽雑誌に掲載されていたクロアチアのイーノ・ミルコヴィッチ音楽アカデミーの特別全額奨学生募集の記事に惹かれ、留学を決めた。

「クロアチアがどこにあるのかも知らず、言葉もまったく話せなかったが不思議と不安はなかった」と振り返る西井さん。日本であった同校のオーデイションに合格し、平成10年9月に入学。15年まで在籍した後、17―19年には文化庁の在外派遣研修員としてクロアチア国立ザグレブ音楽アカデミー大学院にも留学した。

ペヤチェヴィッチは、クロアチアがオーストリア・ハンガリー二重帝国領時代の貴族で、後期ロマン派の女流作曲家。クロアチアでは誰もが知る存在だが、楽譜がザグレブ音楽アカデミーに眠っていたことなどで、曲を聞いたことのある人は少なかったという。

西井さんは大学院在学中にペヤチェヴィッチの曲と初めて出会った。教授の助手を務めていた際、ギター科の学生がペヤチェヴィッチの「ばら」という曲の楽譜を持参。弾いてみると「すごくきれいな曲」と感じて関心を持ち、全曲分の楽譜を5年間掛けて集めた。

西井さんは24年「伊勢からの文化発信プロジェクト」と題し、世界で初めてペヤチェヴィッチのピアノ作品全曲演奏会を伊勢市で開催。27年には全曲を収録したCDを出版した。出版を機にクロアチアでの演奏会が急増し、在クロアチア日本大使館主催のコンサートへの出演依頼も増えたという。

16日の記念ソロコンサートは同国の首都ザグレブであり、クロアチア国営放送が中継する。75分間の生放送で、西井さんはペヤチェヴィッチの「ばら」や「花吹雪」をはじめ、日本の曲では山田耕筰の「からたちの花」、クラシックの定番としてバッハ、リスト、ラフマニノフの曲も演奏する。

西井さんは「私が初めて聞いて惹かれた時のようにペヤチェヴィッチの魅力が一人でも多くの人に伝わり、関心を持ってもらえたらうれしい」と話している。

日本では愛知県立芸術大音楽学部の非常勤講師を務めるほか、伊勢市内でピアノの個人指導をしている。旧ユーゴスラヴィアの音楽研究や普及活動にも取り組む。