国体財源、計画性欠く 三重県議会一般質問 電気事業会計拠出で指摘

三重県議会11月定例月会議は29日、奥野英介(鷹山、3期、伊勢市選出)、山本里香(共産党、1期、四日市市)、山内道明(公明党、1期、同市)、稲森稔尚(草の根運動いが、1期、伊賀市)、倉本崇弘(大志、1期、桑名市・桑名郡)、野村保夫(青峰、1期、鳥羽市)の6議員が一般質問した。奥野議員は、県が3年後の三重とこわか国体・三重とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)の開催経費の一部を企業庁の電気事業会計で賄う方針を示したことについて、「計画的に準備しなかったのは行き当たりばったりと言わざるを得ない」と指摘。県は「財源確保が喫緊の課題」として理解を求めた。
◆財源繰り入れ時期は ― 奥野 英介議員(鷹山)
三重とこわか国体・三重とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)の開催経費の一部を賄うため、企業庁が電気事業会計で内部留保している水力発電事業譲渡差額金を一般会計に繰り入れる時期を尋ねた。県はRDF焼却・発電事業の施設撤去が完了する見通しが立った後に繰り入れる考えを示した。

【国体開催経費】
奥野議員 国体開催経費の一部に充てる水力発電事業譲渡差額金はどれくらいあるのか。いつごろ一般会計に引っ張ってくるのか。

嶋田総務部長 水力発電事業譲渡差額金は平成28年度決算で約57億8千万円と確定し、企業庁が電気事業会計の内部留保金として保有している。企業庁からはRDF焼却・発電事業の施設撤去の見通しが立つまでは差額金を保有する必要があると聞く。

【指定管理者制度】
奥野議員 指定管理者制度の導入開始から10年以上が経過した。きちんと制度が運用されているか検証すべき。県体育協会も指定管理者となっているが、知事が会長なので他の業者は入札から降りてしまう。

嶋田総務部長 要綱に沿って各施設の状況に応じた制度運用を行っている。制度の導入の趣旨に沿った一定の成果が表れていると認識している。

村木国体・全国障害者スポーツ大会局長 要綱に沿って手続きを行っている。県体育協会は知事が会長を務めているが、資格要件は満たしている。
◆IRで知事の考えは ― 山本 里香議員(共産党)
河村たかし名古屋市長がカジノを含む統合型リゾート(IR)の候補に桑名市のナガシマリゾート近辺を挙げたことへの所感を尋ねた。鈴木知事は「IRの誘致に主体的に取り組む意向はない」と説明した。

【コンビナート】
山本議員 県の「石油コンビナート等防災計画」は被害想定が分かりにくい。住民や従業員は心配しているが、これで良いのか。

知事 石油コンビナートの災害は従業員や住民の安全を脅かす。南海トラフ地震の脅威が増しつつある中、石油コンビナートの防災は最重要課題の一つ。訓練を積み重ねて対応力の強化を図る。分かりやすく県民に説明することも大変に重要だと考えている。

【IR】
山本議員 名古屋市長のIRに関する発言で県民はびっくりした。知事も「びっくりした」と伝えられていた。犯罪や青少年の健全育成、依存症なども懸念される。知事の考えは。

知事 IRは地域経済の振興などが期待されるが、周辺地域の治安悪化や青少年の健全育成への影響、依存症の増加といった懸念があり、地域住民の理解と支援が大前提。県としては主体的に取り組む意向はない。仮に誘致の意向がある地域が出れば、周辺自治体の考え方も聞きながら研究したい。ナガシマスパーランドや桑名市に誘致の意向があるとは聞いていない。名古屋市の発表を驚きを持って受け止めている。
◆雇用算定誤り説明を ― 山内 道明議員(公明党)
県教委で障害者雇用率の算定誤りがあった問題を巡り、県立特別支援学校の保護者に対して問題の経緯や障害者雇用に関する取り組みについて説明をすべきと指摘。廣田恵子教育長は「校長を通じて文書でお伝えしたい」と述べた。

【障害者雇用率】
山内議員 特別支援学校を所管する県教委で障害者の就労機会を奪い続けてきたという重大性への自覚が問われている。保護者への説明の必要性についてはどのように判断されたのか。

廣田教育長 今回の算定誤りは障害者手帳を直接確認していなかったことや、従前の調査方法が正しいと思い込み、疑うことなく実施してきたことが主な要因と考えている。保護者への説明については、校長を通じて文書で伝えていきたいと考えている。

【気候変動適応法】
山内議員 地球温暖化を緩める取り組みが必要。災害リスクの増大や水質の悪化などさまざまな影響が懸念されている。来月1日に施行される「気候変動適応法」への県の対応は。

井戸畑環境生活部長 気候変動を軽減する「適応策」にしっかり取り組むことが必要。気候変動やその影響についてまとめた「気候変動レポート2014」という小冊子を発行し、普及啓発に取り組んできた。現在、この小冊子の改定作業を進めているところ。最新の情報を盛り込むなど内容を充実させ、年度内の発行を予定している。
◆不登校減指標に疑問 ―  稲森 稔尚議員(草の根運動いが)
稲森議員は「不登校は多様な要因で、どの生徒にも起こりうる。問題行動としてはならない」と主張。県の指標に「不登校の減少」があることを問題視した。廣田教育長は「今後の指標は検討する」と説明した。

【不登校】
稲森議員 不登校だけで問題行動と受け取ってはならないが、県民力ビジョンは「不登校の減少」を指標に掲げている。大切なのは学校への復帰ではなく、社会的自立。指標は不適切では。

廣田教育長 指標は安心して学べる環境を作るために設けている。今後の指標は他県の状況を踏まえて検討したいが、やはり個々の状況は違う。義務教育なので学校に戻ってきてほしいという思いもある。

【色覚】
稲森議員 色の見え方に特性があることを気付かない子どもが増えてきた。就職の際に知り、進路を断念せざるを得なかったこともあると聞く。検査率の向上に向け、どう取り組むか。また、学校では「色覚チョーク」を採用すべき。

廣田教育長 県立高校では色覚の特性を知る大切さや学校で検査が受けられることを周知している。入学時の調査票に色覚に関する項目を新たに設けた。板書では白と黄のチョークを使い、それ以外の色には下線を引くなど、識別しやすい工夫もしている。色覚チョークは県立学校に使用を促し、市町の教育委員会にも情報を提供したい。
◆住民情報共有推進を ― 倉本 崇弘議員(大志)
複数の自治体が民間のデータセンターに住民情報を預けて運用する「自治体クラウド」の導入が全国と比べて県内市町で遅れていると指摘し、県に協力を求めた。鈴木地域連携部長は「自治体の会議にオブザーバーとして参加し、情報提供や助言を行う」と述べた。

【自治体クラウド】
倉本議員 自治体クラウドの仕組みを利用すれば、コストカットができ、業務の平準化につながり、業務の継続性を確保できる。県の取り組み状況は。

鈴木地域連携部長 平成29年度に自治体クラウドの導入に前向きな市町に対して、助言やサポートをしてきた。今年3月に1市1町で自治体クラウドグループが初めて結成され、4月から運用が開始された。7月には南勢地域の6町による自治体クラウドグループが結成され、8月から運用を開始している。

【道路維持管理】
倉本議員 道路で修繕が必要な箇所の積み残しが増していくのではと懸念している。必要な時期に必要な修繕をすることが重要。見える化を図り、維持修繕を進めていくべき。

渡辺県土整備部長 地域の要望には十分に応えられていないのが現状。起債事業の活用や財源の確保、ライフサイクルコストの縮減に取り組みたいと考えている。点検結果や修繕の必要性を分かりやすく示しながら、客観的な基準や優先度を明確にし、県民の理解が得られる道路の維持管理に努める。
◆漁業改革への見解は ― 野村 保夫議員(青峰)
漁業権を地元の漁協や漁業者に優先的に割り当てる漁業法の規定を廃止する政府の改革について質問。鈴木知事は「改革を生かして水産王国三重の復活に向けた取り組みを進める」としつつ、漁業者の声を踏まえて対応する考えを示した。

【水産改革】
野村議員 水産改革に関する政府の説明会に出席した漁業者からは資源管理について、「今の制度と大きく変わらない」との声がある一方、「著しく収入が減少する」といった心配も聞かれる。国の改革にどう対応するのか。

鈴木知事 県では重要な水産資源の多くが減少傾向にあるため、改革にしっかり対応することが水産業の活性化に重要。漁業者からは心配の声があり、収入安定対策の予算確保などを国に要望した。漁業者や漁協の意見を聞きながら対応する。改革を有効に活用し、水産王国三重の復活に向けた取り組みを進めたい。

【宿泊業】
野村議員 県内では宿泊業が大きな柱だが、人手不足で宿泊者を減らしたり、廃業したりする事業者も出てきた。宿泊業の魅力向上を図る働き方改革が必要。

河口観光局長 平成29年度から宿泊施設の経営者を対象とした研修プログラムの研究や開発に取り組んでいる。30年度は現場の課題に即した研修会を開いたほか、鳥羽と湯の山温泉の2施設にはアドバイザーを派遣した。引き続き宿泊施設の働き方改革に取り組みたい。
<記者席>意味深な質問テーマ
○…鈴木知事の任期満了まで半年を切る中、質問項目に「県政運営」という意味深なテーマを掲げた奥野議員。「知事の3選出馬について聞くのか」と事前に報道機関から問い合わせが相次いだと議場で明かした。

○…ところが、知事に進退を尋ねず、「年末年始にゆっくり考えてほしい」とだけ告げて締めくくった。テーマにも増して意味深な一言。