現代の名工に内山さん 四日市市の美容師 世界大会2位の腕前 三重

【「鏡を見せてお客さんに笑ってもらえたら幸せ」と語る内山さん=四日市市下之宮で】

厚生労働省は11日、「卓越した技能者(現代の名工)」として、四日市市の美容師内山勇一郎さん(53)を表彰した。全国で150人が表彰された。表彰式は12日、東京都新宿区戸塚町のリーガロイヤルホテル東京で開かれた。

優れた技能を持ち、他の技能者の模範となって産業の発展に寄与した人が対象。技能者の地位と技能水準の向上を図るとともに、職人や若者に目標を示す狙いがある。

■地元離れず「誠実に」 後進の育成にも意欲的■

美容師になってから35年。これまでに10万人ものヘアスタイルを仕上げてきた。「現代の名工」に選ばれ「改めて身が引き締まる思い。与えられたチャンスに誠実に応えてきた結果かな」と笑みを浮かべた。

内山さんは四日市市の美容室「La mode」のオーナー。高校時代に友人のヘアスタイルをセットしたのをきっかけに美容師の世界へ。市内の美容室で働きながら、通信教育で美容師免許を取得した。

11年目で出店し、国内のコンテストに出場し始めると、軒並み優勝。平成10年に全日本美容技術選手権大会で3位になり、世界理容美容技術選手権大会(OMCヘアワールド2000)への切符を手にした。

順風満帆に思われた中、世界大会の前年に武者修行の一環として出場したフランスのコンテストで惨敗。「ずっと独学でやってきたプライドがあった。レベルの違いを感じて早く帰国したくなった」と振り返る。

悔しさを感じた一方で、周囲のスタッフが今までサポートしてくれていた事実にも気付かされた。心を入れ替えて臨んだOMCヘアワールド2000では、ヘアスタイル部門の個人で2位に輝いた。

髪へのダメージを減らすため、髪質に合わせてカットを変える。パーマとウエーブを組み合わせて新しいヘアスタイルを創作する。その腕を買われ、ミラノコレクションでヘアスタイルを担当したことも。

今は後身の育成に意欲的だ。常時、5―6校の美容学校などで講習。「忘れていたことを思い出し、自分の弱い部分を再確認できる」と話す。教え子もコンテストで好成績を収め、教える喜びを感じている。

国内外から誘いは来ていたが「お世話になったお客様を置いてよそへ行くことはできない」と断った。下積み時代から通う客が今も百人ほど来店する。「鏡で仕上がりを見せてニコッと笑ってもらえたときが幸せ」。