知と技、組み直し新価値 みえ産業振興ビジョン 三重県知事発表

【定例記者会見で「みえ産業振興ビジョン」を発表する鈴木知事=三重県庁で】

鈴木英敬三重県知事は8日の定例記者会見で、10年先に向けた産業政策の方針を示す「みえ産業振興ビジョン」を発表した。IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)などでもたらされる「超スマート社会」の到来を見据え、知識や技術を組み合わせる「KUMINAOSHI(組み直し)」で新たな価値を生み出すと明記。一方、ビジョンの策定に向けて県が実施したアンケートでは、IoTやAIの活用に意欲を示す県内企業は5・2%にとどまった。

平成24年に策定した「みえ産業振興戦略」の全面改訂版。有識者らでつくるアドバイザリーボード(佐久間裕之座長、16人)と改訂小委員会(西村訓弘座長、7人)の意見や、県内外の5千社に実施したアンケートの結果などを基に県が策定した。

ビジョンは、前身の産業振興戦略が目指した「強じんで多様な産業構造」の構築に取り組むとしつつも、「延長線上の政策だけで実現は困難。若者に魅力ある仕事の創設が重要」と指摘。「超スマート社会」の到来を見据えて柔軟に対応する必要があるとした。

その上で、基本理念を「既存価値を超え、KUMINAOSHIの産業政策で若者が躍動する三重」と設定。第四次産業革命への対応▽多様な魅力を生かした付加価値の創出▽人口減少社会で直面する地域課題の解決▽産業プラットフォームの強化―を柱に掲げた。

また、ビジョンは組み直しの意味について「人材や技術、地域の資源、ビジネスを既存のものだけでなく新たなものも積極的に取り組み、それらを組み合わせたり、つなぎ直したりしてイノベーションを起こし、新たな価値を創出すること」と解説している。

鈴木知事は会見で「若者が生き生きと働けるよう、魅力ある仕事を創設することが重要。先人から受け継がれた伝統や文化に加え、ものづくりやサービスの価値を再認識して新たな価値を創出し、組み直しを進めて若者が躍動する環境を作りたい」と述べた。

アンケートの結果でIoTやAIを「重点的に取り組みたい」とした県内の企業が5・2%と、県外企業の16・4%よりも低い割合にとどまっていると紹介し、「超スマート社会の到来を認識してもらいたいという思いもある」と語った。

名称が「戦略」から「ビジョン」に変わった理由について、鈴木知事は「変化が激しい中での長期的な方向性を示したため」と説明。組み直しをアルファベット表記としたことには「組み直しのパートナーを海外も含めたいという思いがある」と述べた。

一方、ビジョンは数値目標を設定していない。前身の戦略は、製造業の付加価値額やサービス産業の付加価値構成比、労働力人口に占める就業者の割合といった6項目について具体的な数値目標を掲げ、平成31年度を達成のめどとしていた。

これらの数値目標をビジョン盛り込まなかった理由について、雇用経済部は「戦略より長期的な視野に立ったビジョンには、そぐわないと判断した。ビジョンの進捗状況は、当面3年間を対象とした工程表を別に設けるなどして把握する」としている。