亀山市の文化財工事 収賄容疑で前局長逮捕

【松風山福泉寺楼門=亀山市東町1丁目】

亀山市指定文化財の修理工事を巡る指名競争入札で便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、三重県警捜査二課と亀山署は25日、加重収賄の疑いで、同市の前文化振興局長で生活文化部次長兼関支所長の嶋村明彦容疑者(57)=同市関町=を逮捕した。また贈賄の疑いで、宮大工業の今枝敏男容疑者(64)=同市布気町=を逮捕した。

逮捕容疑は平成29年6月29日、市が文化財保護事業として事務を担当していた「松風山福泉寺楼門修理工事」の入札で、当時事業を所管する市文化振興局長の立場にあったことを利用して便宜を図った見返りに、7月中旬に同市内で今枝容疑者から現金数10万円を受け取った疑い。2人の認否は明らかにしていない。

同課によると、嶋村容疑者は28年4月から30年3月まで市民文化部文化振興局長として、文化財保護を目的とした補助事業などを所管していた。

同事業には、今枝容疑者が代理に立てた滋賀県内の元請け業者を含む5社が参加(うち2社は途中で辞退)。嶋村容疑者は立会人として開札に立ち会い、各社の入札価格を確認したうえで、今枝容疑者に最低金額を教えて入札書を差し替えさせたとみている。予定価格は2500万円で、落札額は2千数百万円という。

県警は25日、合同捜査本部を設置。26日には同市役所などを家宅捜索する。

◆文化振興担う実質トップ 同僚部下の信頼も厚く

加重収賄容疑で逮捕された嶋村容疑者は、亀山市の文化振興を担う実質的トップとして、同僚や部下の信頼も厚い人物だったという。平成7年9月に旧関町役場で採用され、犯行当時は部長級の市民文化部文化振興局長として、文化財保護に関する業務を所管していた。市の関係者は「真面目で仕事熱心。逮捕は寝耳に水」と驚きを隠せない。

櫻井義之市長は同日、「極めて遺憾で市民の皆さまに深くおわび申し上げる。今後の捜査に全面的に協力して事実関係の解明を踏まえて必要な措置をとりたい」とするコメントを出した。

一方、贈賄容疑で逮捕された今枝容疑者も県内では有数の宮大工として、過去には石薬師寺(鈴鹿市)や専修寺(津市)などといった国や県、市の文化財修繕に関わりながら、定期的に勉強会を開いて後進育成に努めていたという。県警では2人が文化財の保護事業などを通じて知り合い、犯行に及んだとみて詳しい経緯などを調べている。

楼門の修理工事があった福泉寺(亀山市東町一丁目)では工事完了を祝って27日に落成式を予定していた。関係者は「式典は中止することになるので残念で仕方がない。皆困惑している」と肩を落とした。