廃船、行政代執行で撤去へ 尾鷲の賀田港 三重県が確認、違法放置27隻

【廃船の確認作業に当たる県職員ら=尾鷲市曽根町の賀田港で】

【尾鷲】尾鷲市曽根町の賀田港一帯に違法放置されている廃船27隻を強制撤去するため、三重県は2日、行政代執行に着手した。撤去費用は約4700万円。この日は職員ら30人が船の確認作業などを実施した。

同港湾を管理する県によると、放置されている船は主に小型の漁船で、繊維強化プラスチック(FRP)製。県内のほか千葉や宮﨑、和歌山県などから持ち込まれてきた。全長は20メートル前後が多く、最大で22・59メートル。重さは○・9トンから19・74トン。

平成26年に和歌山県新宮市の船舶中古販売業の男性(57)が、中古船を販売目的で持ち込んだことがきっかけで同港に係留や放置されるようになった。この男性以外にも尾鷲市の70代男性が1隻、同80代男性が3隻を放置していることが判明し、一時は最大で43隻が違法放置されていたという。

県尾鷲建設事務所や紀北地域活性化局に、油の流出や災害時に船が集落に流される危険を恐れた地元住民から「早く撤去してほしい」などの要望や苦情が寄せられるようになり、県は廃船の放置は危険だと判断。

昨年6月から今年7月までの間、所有者の3人に対し港湾法に基づく撤去命令や、行政代執行法に基づく戒告書を交付し指導。改善されなかったため、7月30日に行政代執行令書を交付。尾鷲市の男性2人は同年9月にすべて撤去したが、新宮市の男性は指定の期日までに応じなかったため、行政代執行に踏み切った。撤去費用は所有者の同男性に全額請求する。

この日は、午前10時前に県尾鷲建設事務所の久保拓也所長が代執行を宣言した後、職員らが班に分かれ、ドローンを使って廃船の位置を確認した。今後、業務委託した5業者が船の油の抜き取りや切断作業などを行う。

行政代執行について、男性は取材に「片付けるつもりで市内など4カ所に船を係留する場所を借りていたが間に合わなかった」とし、撤去費用については「働きに出て給料から天引きするなどして払っていく」としている。