公文書条例の制定検討へ 三重県、不適切な事務処理受け 管理方法を規定

三重県議会9月定例月会議は1日、田中智也(新政みえ、2期、四日市市選出)、中嶋年規(自民党県議団、4期、志摩市)、杉本熊野(新政みえ、3期、津市)、舟橋裕幸(新政みえ、6期、同市)の4議員が一般質問した。鈴木英敬知事は公文書の管理方法などを規定する公文書管理条例の制定を検討する考えを示した。国の公文書改ざん問題や県で相次ぐ不適切な事務処理などを受け、公文書に対する県民の信頼向上が目的。条例の制定で事務処理の基本的な考え方を定め、職員に公文書の適正な管理を意識付ける。公文書管理条例は同日までに六都県で施行されており、他の道府県でも検討が進んでいる。

◆貨物駐車規制の対応は ― 田中 智也議員(新政みえ)

田中議員は国が見直す方針を示している貨物車両の駐車規制について、県の対応を尋ねた。県警本部は駅前商店街の周辺を中心に、来年度から貨物車両の駐車規制を緩和する方向で検討していると説明した。

【液状化】
田中議員 北海道胆振東部地震の際、札幌市内では液状化によって道路が陥没した。南海トラフ地震でも液状化は必然。救援物資などの輸送にも支障を来すと懸念されるが、県はどのような対応をしているか。

福永防災対策部長 県は南海トラフ地震発生時の液状化危険度予測分布図をホームページで公表し、このデータを参考に県内の8市町が液状化マップを作成している。庁舎などが液状化で使えなくなった時の代替施設をあらかじめ定め、緊急輸送道路の代替道路も指定している。

【駐車規制】
田中議員 宅配の需要が高まっているが、駐車場所の確保が難しい。駐車監視員の取り締まりは厳しいが、ドライバーが駐車違反で免停になるのは死活問題。長時間労働の要因でもある。県はどう対応するのか。

難波県警本部長 県警としては県内の要望も踏まえ、駐車の需要が高く、交通への影響が小さい場所で来年度から順次、規制緩和できるよう検討している。具体的には駅前商店街の周辺などを中心に、貨物集配中の車両に限った規制解除やパーキングメーターの運用見直しを検討している。

◆児童虐待の条例改正を ― 中嶋 年規議員(自民党県議団)

制定から14年が経過した「子どもを虐待から守る条例」は児童虐待防止に向けた市町との役割の明確化ができていないとした上で、改正の必要性を指摘。鈴木知事は「県家庭的養護推進計画を踏まえ、改正に向けた検討を進めたい」と前向きな考えを示した。
【児童虐待防止】
中嶋議員 子どもを虐待から守る条例は改正された児童福祉法の考え方に追い付いていない。見直しの必要性は。

知事 児童福祉法の改正があり、子どもの権利に関する考え方や国・地方公共団体の役割分担が明確に整理された。条例内容の見直しが必要な時期になったと感じている。児童虐待の防止を中心に全ての子どもの権利を守る指針や具体的な施策のよりどころになるために、県議会と改正に向けた検討を進める。

【地籍調査】
中嶋議員 地籍調査が進んでいない。静岡県のように土地開発公社が新たな組織を設立して地籍調査を進めてはどうか。

鈴木地域連携部長 静岡県の取り組みは土地開発公社のノウハウを生かせるが、県内の市町は民間業者や土地家屋調査士協会に一筆地調査を委託している。民間業者の活用が進んでいるので必要性は低い。

中嶋議員 非常に後ろ向きな答弁。真剣にいろいろな方策を考えるべき。

知事 進んでいないのが現状。当事者意識を持って取り組む。

◆福祉支援の策定過程は ― 杉本 熊野議員(新政みえ)

杉本議員は、県が来年度中に策定する地域福祉支援計画について、策定の過程などを質問。県は「市町や社会福祉協議会との意見交換を重ね、県の理念や方向性が分かりやすい計画にする」と説明した。

【地域福祉支援計画】
杉本議員 県は地域福祉支援計画を策定するが、県内各地域の現状や課題を踏まえてほしい。策定のプロセスが大事。県の課題を整理し、県らしいキーワードも紡ぎ出してほしい。

田中子ども・福祉部長 高齢者や障害者、児童といった分野ごと、縦割りの支援ではなく、課題を包括的に受け止める必要がある。「地域共生社会の実現」に向けた基本方針や支援の取り組みを記載した地域福祉支援計画を策定することにしている。市町や社会福祉協議会との意見交換を重ねて策定を進めたい。地域の実情を踏まえ、県の理念や方向性が分かりやすく伝わるようにしたい。

【部落差別】
杉本議員 県は教育などを通じて部落差別のない社会の実現に取り組んできたが、解消には至っていない。情報化が進展する中で状況の変化は。

井戸畑環境生活部長 匿名性の高いインターネットを悪用した差別的な書き込みや誹謗中傷が後を絶たない。最近では特定の地域を取材し、同和地区として写真入りで紹介するという許しがたい行為も発生している。相談や啓発の充実が必要と考えている。

◆公文書管理条例制定を ― 舟橋 裕幸議員(新政みえ)

国の公文書改ざん問題を受け、県職員の公文書管理意識を高めるために公文書管理条例の制定を提案。鈴木知事は有識者の意見を踏まえて、公文書の管理ルールや歴史的公文書の保存を規定する条例の制定を検討していると明らかにした。

【公文書管理条例】
舟橋議員 現在だけでなく将来に渡って説明責任を果たすため文書管理の制度整備が必要。公文書管理条例を制定すべき。

知事 公文書は県民への説明責任を果たすために重要。国や他の自治体の公文書管理を巡る問題や、県での不適切な事務処理が発生していることを鑑みると、公文書の適正な管理を徹底し、県民の信頼を高めることが重要と考える。公文書管理条例を有識者の意見を聞きながら、制定していく方向で検討している。

【海洋汚染対策】
舟橋議員 プラスチックの使用増加でマイクロプラスチックの海洋汚染が進み、生態系への影響が懸念されている。県の取り組みの現状と今後の方針は。

井戸畑環境生活部長 県海岸漂着物対策推進計画に基づき、プラスチックを含めた海岸漂着物対策に取り組んでいる。流域圏全体での対応が重要であるため、平成24年の東海3県1市の知事市長会議で知事が提案し、連携して取り組んでいる。今後はマイクロプラスチックの観点を入れつつ東海3県1市や県内市町との関係を強化し、効果的な対策を進める。

<記者席>「公文書どこ」にざわつく

○…台風一過の県議会。田中議員は県内の被害に触れつつ、新たに発生した台風25号の名称が「コンラン」になったと紹介。「意味は謎の少女らしい」と語り、当局は険しい表情に。

○…ただ、本会議の後に記者が調べると、実際の名称は「コンレイ」だった。「議事録は修正することになる」と議事課。よほど、台風での〝混乱ぶり〟が印象的だったのだろうか。

○…一方、避難所の様子を紹介した杉本議員は運営に当たった職員をねぎらいつつ「避難所の環境を何とかできないのか」と強く要請。当局にとっては「台風一過」ではなさそうだ。

○…公文書の管理をテーマに質問した舟橋議員が「総合博物館で公文書が保管してあるのはどこか」と質問すると、当局の幹部らは顔を見合わせたり、うつむいたりと不安げな様子。

○…回答を求められた嶋田総務部長は「承知していない」。今度は保管場所の名称を尋ねられると、井戸畑環境生活部長が「資料閲覧室」と述べて正解。抜き打ちテストのような質問に、ざわついた執行部だった。