2018年10月2日(火)

▼米軍普天間基地の辺野古移転問題で、仲井眞弘多沖縄県知事(当時)の言動が揺れてきたころ、地元紙の論説委員に見通しを聞いたことがある。近づく6月の「慰霊の日」が焦点で、沖縄全戦没者追悼式で何を言うか。県民にとって最重要式典で、ここでの発言に違背があれば沖縄に住んでいることもできなるなるという

▼それから数日後、NHKの定点観測番組「ドキュメント72時間」で、沖縄のアメリカン・ドライブインで客の声を紹介していた。高校生数人が訪れたのが本土復帰記念日で、そのことを問われ「あ、そうなんですか」。「慰霊の日」への世代継承がうまくいっているか、心配したものである

▼沖縄戦「集団自決」の壕、読谷村のチビチリガマが荒らされたのは2年後。地元紙は「聖地」破壊の憤りをあらわにし、30年前の右翼団体の暴挙などを引き合いに歴史をゆがめようとする動きとの関連を示唆したが、捕らえてみれば16―19歳の少年。「肝試し」だった

▼沖縄戦を知らず、チビチリガマを知らず「心霊スポット」的感覚でしかなかったという。平和の中で、平和を願う気持ちとチビチリガマの存在とが一致しなくなっている。名護市長選など基地移転反対派が敗北を続けるのはさもありなんと思ったのは独断と偏見だが、少年の現実に衝撃を受けた民間団体は継承活動を見直しているという

▼知事選勝利が弔い合戦の奏功か歴史教育の浸透かで辺野古を巡る今後も変わってくるに違いない。新知事の役割は国との対立ばかりではない。四日市公害に無関心な県のようになってしまっては遅い。