三重県 生活保護に冷暖房設置費 4月からの受給世帯へ

三重県議会9月定例月会議は25日、中川正美(自民党、9期、伊勢市選出)、長田隆尚(能動、3期、亀山市)、東豊(鷹山、2期、尾鷲市・北牟婁郡)、岡野恵美(共産党、1期、津市)、今井智広(公明党、3期、同市)の5議員が一般質問した。県は熱中症対策として、生活保護を受けている18世帯に従来は対象外だったエアコンの設置費を支給したと明らかにした。4月から生活保護を受けた世帯が対象で、購入費は上限5万円、設置費は全額を支給した。一方、4月以前からの受給世帯には「これまでに支給した保護費で対応してもらう」などとして支給しない考えを示した。

◆聖火リレーの選定は ― 中川 正美議員(自民党)

中川議員は東京五輪・パラリンピックの聖火リレーについて、県内のルートやランナーの選定に向けた考え方を尋ねた。鈴木知事は「できる限り多様な分野から一人でも多くの人に走ってもらう」と述べた。

【聖火リレー】
中川議員 東京五輪・パラリンピックの聖火リレーについて、意気込みや期待、選定の考え方は。

鈴木知事 県内で実施する聖火リレーの実行委員会を設置し、会長として検討を進めることになった。県として主体性を持ち、しっかりと検討する。伝統、文化、自然はもとより目覚ましい発展を遂げた産業、技術を含めて県の特色や魅力を国内外に発信したい。ランナーの選定に当たっては、できる限り多様な分野から一人でも多くの人に走ってもらうことが最も重要だと考えている。

【式年遷宮】
中川議員 次回の式年遷宮に向けて県を盛り上げてほしい。式年遷宮が行われる15年後の姿をどのように描いているか。

鈴木知事 前回の式年遷宮が行われた平成25年には、当時としては過去最高の4千万人を超える人々が県を訪れ、1千万人に迫る延べ宿泊者を数えた。伊勢志摩サミットの開催を契機にインバウンドの誘致に向けて積極的に取り組んでいるが、次回の遷宮では国内外からより一層、多くの人に訪れてもらえるよう、しっかり取り組む必要がある。

◆リニア経済効果紹介 ― 長田 隆尚議員(能動)

リニア中央新幹線が全線開業した場合、東京、名古屋、大阪の三大都市圏が一体化し、世界最大規模の経済圏が誕生するとされる「スーパー・メガリージョン(巨大経済圏)構想」を紹介。知事は地方創生につなげるため、波及効果を最大限に生かす考えを示した。

【リニア中央新幹線】
長田議員 東京と大阪が1時間で結ばれることで、スーパー・メガリージョンが誕生する。地方への移住促進や訪日外国人の観光誘客、中枢機能の分散が期待できる。県としての受け止めは。

鈴木知事 リニア中央新幹線は地方創生に不可欠な基盤。県は人口減少の課題に対応するため、豊かな自然や観光資源、三重の伝統・文化の魅力をアピールし、移住促進や国内外からの観光誘客などの取り組みを展開している。リニア中央新幹線の全線開業と県内中間駅の設置は地域の持続的な活性化を実現していくチャンスととらえる。

【防災情報】
長田議員 県は防災情報を登録制メールやツイッター、ラインで提供している。各メディアによって配信内容が異なる理由は。

福永防災対策部長 登録制メールは利用者が必要な情報を選択して受信できる。一方、ラインやツイッターは利用者が受け取る情報を選べず、情報を取捨選択できない。台風接近時に留意すべきことや身近な情報を職員が独自で作成した平易で分かりやすい文章で伝えている。

◆「産後うつ」の対策は ― 東 豊議員(鷹山)

東議員は産後の死因に多いとされる自殺の対策を進めるよう要望した。県は医療事業者向けに、産後うつの検査をするマニュアルを策定したことなどを紹介。「切れ目のない支援に努める」と説明した。

【低出生体重児】

東議員 低出生体重児の出生率はOECD(経済協力開発機構)の中でも高い。複数の医療機関に聞き取ったところ、低出生体重児の約半数が何らかの障害を持つ可能性があるとのことだった。予防のために、どんな対策ができるのか。

田中子ども・福祉部長 県内では過去15年、低体重児の出生数は9%前後で推移している。保健師、助産師、看護師らの資質向上が重要で、県は市町の職員に母子保健コーディネーターの養成研修を実施している。研修を充実させるなど市町への支援に努める。

【産後うつ】
東議員 産後の死因でトップは自殺という非常にショッキングな報道があった。妊娠中や産後1年以内の自殺が全国で年間約50人に上る。現状と対策は。

田中子ども・福祉部長 産後の体調や育児に不安がある産婦を助産師が訪問する産後ケア事業を22市町が実施している。来年度は新たに4市町が実施する予定。29年度には産後2週間と1カ月の妊婦健康診査事業が始まったが、健診項目の一つにある「産後うつのスクリーニング検査」を実施する医療機関が少なく、医療従事者向けのマニュアルを作成した。

◆エアコン設置状況は ― 岡野 恵美議員(共産党)

岡野議員は熱中症予防を目的とした生活保護世帯へのエアコンの設置状況を尋ねた。県は厚生労働省からの6月の通知を受け、8月17日までに18世帯にエアコン設置費として総額約103万円を支給したと説明した。

【エアコン設置】
岡野議員 生活保護世帯へのエアコンの設置の状況は。周知徹底を図るべき。

田中子ども・福祉部長 県内の各福祉事務所で対象世帯に冷房器具の設置について案内している。県内では18世帯に支給した。4月1日以降に生活保護を受け、要件を満たす世帯が対象。それ以前に生活保護を受けた世帯は、保護費をやりくりして購入費に充てるか、社会福祉協議会からの貸付金で冷房器具を購入する方法がある。

【県債残高】
岡野議員 県債残高が増えた原因は何か。残高をどう減らしていくのか。

知事 建設地方債は平成24年度をピークに減り、臨時財政対策債が増加している。臨時財政対策債は地方交付税に振り替えて発行される地方債で、実質的な地方交付税。臨時財政対策債を発行しないと、標準的な県民サービスが提供できなくなる。建設地方債は緊急に実施しなければならない取り組みや経済対策への対応に充てた。新規のインフラ整備については厳しい優先度判断を実施し、投資的経費を抑制することで建設地方債の残高の減少傾向を維持したい。

◆愛知岐阜、ヘリ連携を ― 今井 智広議員(公明党)

今井議員はドクターヘリによる救急活動について、愛知、岐阜の両県とも連携するよう提案。鈴木知事は奈良、和歌山両県と結んでいる相互応援協定を東海3県でも締結できるよう検討する考えを示した。

【ドクターヘリ】
今井議員 ドクターヘリの運航について、紀伊半島3県の相互応援体制に加え、愛知県や岐阜県とも連携を図るべきだと考えるが。

知事 現時点でドクターヘリの相互応援協定は紀伊半島3県だけだが、東海3県でも連携を強化すれば救急医療が充実すると考えられる。ドクターヘリを効果的に運用し、広域的な救急医療体制を構築できるよう、災害対応も含めて相互応援の締結を検討したい。

【財源確保】
今井議員 県はあらゆる財源確保を進めると言っているが、土地の売却や自動販売機の設置、クラウドファンディングの状況は。

嶋田総務部長 未利用地の売却は平成28―31年度で5億円を見込み、28、29年度までの実績は4億6千万円。自動販売機を設置する場所の貸し付けは年間約9千800万円の収入があり、県の貴重な財源になっている。本年度は9事業でクラウドファンディングを実施し、うち飼い主のいないネコの不妊・去勢手術は120万円の募集金額に対し、210万円を超える寄付金が集まった。今後も賛同者からの寄付金で歳入の確保を図りたい。

<記者席>パワーバランス

○…中川議員は「15年後にはロボットやAIが発達し、リニアも開通している」と県の将来像を描いたが、同僚議員からは「聞こえやんで」との指摘が。壮大なテーマの割に声は少し小さかったか。

○…東議員は「長田議員は資料を12枚も用意していた。私は13枚で1枚勝った」と満足げだったが、中盤で「残り時間がない」と早口に。一応は全ての資料を紹介して「勝者」の面目は保ったようだ。

○…県当局と共産党の〝バトル〟は本会議の名物。この日は岡野議員が工業用水道の料金を引き下げを求めて山神企業庁長に詰め寄ったが、山神庁長は「料金の抑制に努める」とあいまいな答弁。

○…バトルはしばらく続くも「説明の通り抑制する」と答弁した山神庁長に他の議員らが「ええ答弁や」と援護射撃すると、追及はここでストップ。勝負を分けたのは県議会のパワーバランスだったようだ。