大気汚染監視「予定ない」 四日市公害 県回答を萩原氏ら公表 三重

【記者会見で、公開質問状への回答を発表する河村代表(左)と萩原元県議=三重県庁で】

四日市公害をテーマにシンポジウムを開いた萩原量吉元県議らは6日、シンポジウムに合わせて県に提出した質問状の回答を公表した。県独自で大気汚染のサーベイランス(監視を伴う調査)を実施するよう求めた質問に対し、県は「その予定はない」と回答。萩原氏らは企業が排出する汚染物質の情報も請求したが、県は「企業に意見照会をする必要がある」として回答を待つよう求めた。

質問状を提出したのは、8月26日に四日市市安島一丁目の「四日市公害と環境未来館」で開かれたシンポジウム「四日市公害は本当になくなったのですか?」の実行委員会。シンポジウムでは、四日市公害訴訟に携わった弁護士の郷成文氏が講演したという。

質問状は「四日市公害訴訟の判決では立地上の過失が厳しく指摘されたが、わずか一本の道路が工場と民家を隔てている実態は変わっていない」などと指摘。「健康被害は本当になくなったのか」と尋ね、サーベイランスの実施を求めている。

これに対し、県は回答書で、環境省が実施しているサーベイランスを引用して「大気汚染物質の濃度が高いほど、ぜんそく有症率は高くなるという傾向はなかった。全国との比較でも四日市はぜんそく有症率が低い地域に入っている」と説明した。

その上で「県が実施していた公害健康被害の補償などに関する事務は四日市市に移管されており、県は公害認定患者の情報を持ち合わせていない」と説明。「県としてサーベイランス調査の予定はない。調査の詳細は環境省に問い合わせてほしい」とした。

また、実行委は企業が排出する汚染物質の情報を公開するよう県に請求したが、現時点で公開されていない理由も尋ねた。県は回答書で「情報公開条例に基づき、第三者に意見書提出の機会を与える必要がある」とし、企業への意見照会結果を待つよう求めた。

県庁で記者会見した萩原氏は「企業に了解を取ってからでないと情報を出せないという考えは、企業寄りの姿勢だ」と批判。実行委の代表で元中学教諭の河村紀子氏は「今も公害に苦しんでいる人がいる。四日市公害を風化させてはならない」と指摘した。