紀伊半島水害から7年 復興着実「つながりも」 紀宝町浅里地区 三重

【飛雪米の栽培に取り組んでいる木下さん=紀宝町浅里で】

 台風12号の上陸による集中豪雨で紀伊半島地域に大きな被害をもたらした紀伊半島大水害から3日で7年を迎えた。甚大な被害を受けた三重県紀宝町浅里地区は、ブランド米「飛雪(ひせつ)米」を栽培するなど復興に向けて住民一体となって取り組んできた。区長を務める木下起査央さん(70)は「水害前より活気が出るようにさまざまことに取り組んできた」と振り返り、「大変なことも多かったが、つながりや広がりもできた」と復興に手応えを感じている。

 47世帯83人が暮らしていた浅里地区では土石流で県道が塞がれ、孤立した。木下さんら住民は6日朝に自衛隊のヘリに救助された。木下さんは「ヘリが来たときはほっとした。本当にうれしかった」と当時を振り返る。ヘリが到着するまでの間、高齢女性と夫婦ら10人でパンを分け合ったり炊き出しをしたりして助け合って過ごした。

 同町は熊野川が氾濫し、浸水や土砂による住宅などの全半壊、大規模半壊は1004世帯に上った。道路が復旧するまで約1カ月半の間、浅里地区に入れず、木下さんは御浜町の親戚宅に身を寄せながら避難所運営に尽力した。

 同町は水害をきっかけに、全国に先駆けて事前防災行動計画「タイムライン」を導入。同町のタイムラインでは、役場の担当課別に240項目の役割が決められている。

 総務課防災対策室によると、導入前は台風のピーク時に避難する人が多かったが、導入後は早めに避難する人が増えたという。8月に発生した台風20号でも、避難所に食べ物を持参し早めに避難する人が多く、「住民の意識も変わってきた」(防災対策室)と話す。

 復興への取り組みとして、浅里地区は水害後、犠牲者の冥福を祈る「キャンドルナイト」や、郷土食のなれ寿しを知ってもらおうと「なれ寿しまつり」などイベントを開いてきた。27年には任意団体として立ち上げていた浅里地区の住民らでつくる「飛雪の滝百姓塾」を法人化し、木下さんが代表理事に就任。飛雪の滝の水を使った飛雪米をブランド化する取り組みを始めた。

 同年には、水害直後、復旧活動に当たった「岡谷鋼機」(愛知県名古屋市)と「農山村活性化の取組に関する協定」を結び、社員がボランティアで稲刈りに訪れるなど、交流が続く。

 今年4月は同地区に町営「飛雪の滝キャンプ場」がリニューアルオープン。親子連れなどでにぎわいを見せている。

 復興は着実に進む。木下さんは「最近では若い夫婦が2組、浅里に移住してくれた。これからもいろんなところから人が集える地域にしていきたい」と述べ、今後も地区の活性化に取り組む決意を示した。