虐待から子ども守れ 児童相談所職員らが訓練 県警察学校 三重

【母親(奥)を説得する児相の職員ら=津市高茶屋4丁目で】

児童虐待の疑いがある家庭を訪問して子どもを保護する訓練が29日、三重県津市高茶屋四丁目の県警察学校であった。児童相談所の職員や警察官ら29人が参加し、立ち入り調査をして子どもを保護する手順を実践。大声を出して暴れる父親役を取り押さえたり、泣き叫ぶ母親役を説得したりと、リアルな場面で保護の難しさを学んだ。

児童の適正な保護や関係機関の連携を目的に、児童相談所と県警が平成22年から実施している。例年は児童虐待防止月間の11月に実施しているが、東京都目黒区で虐待を受けた女児(5つ)が死亡した事件を受けて、今年は前倒しすることにした。

訓練は「4カ月の乳児に複数のあざがある」と病院から市に通報があったとの想定で実施。参加者らは3つのグループに分かれ、うち2つのグループが初めての訪問、残り1グループは裁判所から「臨検捜索許可状」を得た強制的な調査を実践した。

警察学校にある訓練用の家屋で実施。児相の職員らはドアをノックして「お子さんにけががあると聞いたので、確認させてください」と求めた。これに対し、母親役は「子どもは虫に刺されただけ」と反発。父親役は「中に入れるな。追い返せ」と激怒した。

児相の職員らは激高する両親を説得しつつ、隙を見て子どもを抱いて部屋から連れ出した。大声を出す父親役を前にした児相の職員が言葉を詰まらせたり、同行した警察官が、暴れる父親役を公務執行妨害容疑で現行犯逮捕したりする場面もあった。

県警少年課の山路智子少年サポートセンター長は訓練後の取材に「緊張感のある訓練で、保護者の理解を得る難しさを感じてもらえたと思う。ドアの向こうにある子どもの命が危ないときに、対応を切り替えることの大切さも学んでほしい」と話していた。

県は昨年度の1年間で、虐待を受けた可能性がある8人の児童を、児童虐待防止法に基づく家庭への立ち入り調査や臨検捜索によって一時保護した。学校や保育園など家庭以外での保護を含めると、昨年度中に一時保護した児童は438人(速報値)に上る。