三重県議会 議事録捏造で勧告 県が社会福祉法人に 法改正で初の適用

【社会福祉法人に対する監査の報告を受ける医療保健子ども福祉病院常任委=県議会議事堂で】

三重県議会は21日、戦略企画雇用経済、環境生活農林水産、医療保健子ども福祉病院の各常任委員会を開いた。県は医療保健子ども福祉病院常任委で、県内の社会福祉法人が、開催していない理事会の議事録を捏造(ねつぞう)していたとして、社会福祉法に基づく勧告を出したことを明らかにした。28年4月の法改正で、県などの権限に勧告の措置が盛り込まれてから初の適用となる。県は「法人は勧告に基づいて適切に対応した」として法人の名称は公表しない方針。

■福祉施設への指摘1001件 県が監査結果を報告
〈医療保健子ども福祉病院常任委=野口正委員長(7人)〉

県は社会福祉法人などを対象として29年度中に実施した監査の結果を報告。社会福祉法人に1件の勧告、6件の指摘をしたほか、社会福祉施設への指摘は1001件に上った。

【監査】
県によると、監査は社会福祉法などに基づいて実施。29年度は県が所管する39法人と321施設を対象とした。議事録の捏造(ねつぞう)は、県が1月に法人を監査して発覚。県に関係書類の提出を求められた際に、捏造を認めた。

この法人は理事らを選ぶ評議委員会は開いたが、理事会を開かずに理事長を選任していた。議事録を捏造した理由について、県に「あらためて理事らに集まってもらうのは大変だと考えた」と説明。勧告を受けて理事会を開き、理事長を選びなおしたという。

このほか、社会福祉法人に対する指摘の内訳では、実際は既に実施していない事業を定款に盛り込んでいたり、不適切な手続きで役員を選任していたりと、組織運営で問題のあった事案が5件、資産総額の登記に問題があった事案が1件だった。

社会福祉施設への指摘は、衛生管理や苦情処理のマニュアルがなかったり、ナースコールを手の届かないところに設置したりと、入所者の処遇に関わる事案が239件、職員の給与規定や健康診断など施設運営に関わる事案が762件に上った。
■事業継承支援金を創設 5000万円上限に低金利融資
〈戦略企画雇用経済=芳野正英委員長(8人)〉

県は、経営者が高齢化した中小企業の事業を引き継ぐため、後継者に5千万円を上限に低金利で融資する「事業承継支援資金」を創設したと説明。第三者が事業を引き継ぐのに必要な株式や資産を取得する資金として活用してもらう狙い。

【事業承継支援基金】
県は中小企業の経営者が数年の間に引退すると予想。県の試算によると、後継者を作らずに廃業した場合、2025年には約8万3千人の雇用が失われ、県内総生産に約3300億円の損失が発生する見通し。

経営者が引退した後も事業を継続させるため、昨年8月、商工団体や金融機関などで「県事業承継ネットワーク」を結成。企業が経営者の交代に向けた準備を進められているか診断を始めた。昨年度は1394社を診断した。

本年度は事業承継支援資金を創設。金融機関から融資を受ける際、金利の一部を県が負担する仕組み。県事業承継ネットワークの構成機関から支援を受けて事業承継計画を策定した後継者などを対象に融資する。事業の引き継ぎに株式や事業用資産を取得する資金が必要になるため。

最長7年、5千万円を上限に年1・60%の固定金利で融資する。本年度から3年間は事業承継を重点的に進める時期と位置付け、0・4%低い1・20%に設定。通常の融資より0・5―0・9%ほど金利を低く抑えられる。21日までに融資の実績はない。
■税収配分見直し検討 「みえ森と緑の県民税」で
〈環境生活農林水産=廣耕太郎委員長(8人)〉

県は、県民一人当たり年間千円徴収する「みえ森と緑の県民税」について、税収の配分を見直すと説明。県と市町に2分の1ずつ配分している税収を、県と市町が協力して実施する事業にも割り振ることを検討している。7月の評価委員会で配分案を示す。

【みえ森と緑の県民税】
本年度末に導入から5年が経過するため、評価委員会がこれまでの成果を検証し、中間案を取りまとめた。県と市町の配分案は検討中として明記せず、5月1日から30日までの間、県民から中間案に対する意見を募集した。

県によると、87件の意見が集まり、おおむね制度の継続を求めていた。使い道の対象範囲を広げるよう求める声もあった。県は集まった意見を踏まえて最終案を取りまとめ、7月に税収の配分案を含めた最終案を提示する。

【伊勢湾アサリ復活プロジェクト】

県はアサリの漁獲量を回復させるため、平成24年度から四日市市の海上で5ヘクタールの干潟の造成を開始。昨年度までに約2・6ヘクタールが完成した。本年度は1億800万円をかけて0・6ヘクタールを造成する予定で、進捗(しんちょく)率は64%となる見込み。

また、稚貝を風水害から守るため、安全な海域に放流するマニュアルを本年度作成する。河口に発生した稚貝を移すのに適した場所の選び方やアサリの資源量を調査する方法をまとめ、漁業者に普及させる。