三重県議会・一般質問 許可なく大規模土砂採取 業者に埋め戻し指導

三重県議会6月定例月会議は13日、山内道明(公明党、1期、四日市市選出)、山本里香(共産党、1期、四日市市)、倉本崇弘(大志、1期、桑名市・桑名郡)、稲森稔尚(草の根運動いが、1期、伊賀市)、下野幸助(新政みえ、2期、鈴鹿市)、野口正(自由民主党県議団、1期、松阪市)の6議員が一般質問した。県は伊賀市予野の農地で、県の許可を受けずに大規模な土砂の採取が行われていたと明らかにした。県は26年、業者に埋め戻すよう指導。約70万立法メートルを埋め戻す必要があるという。県は採取を止めることができなかった理由について「周辺から採取の状況が確認でなかった」などとしている。
■健康事業、県市町連動を ― 山内 道明議員(公明党)
食生活や運動など健康づくりの取り組みにポイントを付与する「健康マイレージ」について、県と市町の事業を連動させることを提案。県医療保健部は「県が主催するイベントでも市町のポイントが付与されるよう、市町との調整を進める」とした。

【健康マイレージ】
山内議員 県と市町の健康マイレージ事業を連動させるため、県が開く健康づくり関係のイベントへの参加も市町のポイントを付与する対象にしてはどうか。

福井医療保健部長 健康マイレージ事業は県民の健康づくりを社会全体で応援する。市町の事業で一定のポイントを獲得した人に「三重とこわか健康応援カード」を交付し、協力店からサービスが受けられるように県と市町の事業を連動させることにしている。県が開催する健康づくりに関する研修会やスポーツ大会などの事業にも市町のポイントが付与される仕組みにしたいと考えている。

【SDGs】
山内議員 国連総会で採択された17の国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」に対する県の取り組みは。

西城戦略企画部長 県は政策体形を定め、施策ごとに目標を定めている。SDGsに位置付けられた目標は政策体系と完全に一致するものではないが、おのずとSDGsの達成につながることも期待できる。県の政策にどう関連づけるべきか調査研究していきたい。
■学テ正答率の指標やめて ― 山本 里香議員(共産党)
山本議員は全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の正答率を県の指標としないよう要請。鈴木知事は「子どもたちの学力を測る一つの目安」とし、今後も指標として活用する考えを示した。

【学力】
山本議員 三重の教育の第一指標が学力テストの正答率で良いのか。知事が選挙公約に掲げる「全ての教科で平均点以上を」とのことから来ているのなら、学力テストの正答率を県民指標とすることを、もうやめないか。

知事 全国学力テストで測定できるのは学力の一部だが、学習指導要領で求められる力を身につけているかを確認できる。学力の現状を知る上で一つの目安。議会にも過度な競争が生じないよう指摘いただいた上で議決され、指標に盛り込んでいる。

【道徳】
山本議員 「子どもたちが国政を巡る状況を質問したら、どう対応すれば良いのか」と不安に思う先生らがいる。国は道徳教育を要求しているが、当の政府は欺瞞(ぎまん)や不正にまみれている。道徳に照らし、このことをどう捉えるか。

知事 道徳教育は子どもたちが自己の生き方を踏まえ、主体的な判断のもとに行動する自立した一人の人間として、他者と共によりよく生きる基盤となる資質や能力を養う。教育委員会や学校には道徳教育の意義や役割を十分に認識し、しっかり取り組んでほしい。
■子ども食堂に支援養成 ― 倉本 崇弘議員(大志)
地域の子どもに無料または低額で食事を提供する「子ども食堂」について「このままの状態での活動継続は無理がある」と指摘し、県に支援を要請。県子ども・福祉部は「ネットワークの構築や活動支援に関心のある企業とのマッチングに取り組む」とした。

【子ども食堂】
倉本議員 子ども食堂は地域の需要に合わせて自然に生まれた活動であるため、公的なサポートが遅れている。活動が継続的に続けられるように県はどう支援するつもりか。

田中子ども・福祉部長 昨年の実態調査で、スタッフの確保や食材・資金の調達方法などが課題として明らかになった。本年度は新規参入者向けに子ども食堂の実践的なハンドブックを作成し、開設講座を実施する。県内の子ども食堂にネットワークの構築を促し、子ども・子育て支援に関心のある企業や団体による支援を進める。

倉本議員 補助金を支出するのが一番手っ取り早く、効果が出やすいと思うが、厳しい県財政を考えると簡単ではないのだろう。ネットワークの構築や支援者とのマッチングはうまく機能しないと意味がない。各団体が自立して活動できるようにしてほしい。

知事 子ども食堂のノウハウの提供や支援者との橋渡しなど入り口の施策が多いので、これから市町と連携して持続可能な活動を支援したい。子どもは地域の宝。現場の状況を把握しながら取り組みたい。
■関西本線、複線電化は ― 稲森 稔尚議員(草の根運動いが)
稲森議員はJR関西本線の加茂―亀山駅間の複線電化に向けた取り組みを尋ねた。県は「まずは利用を促進すべき」とし、沿線自治体でつくる関西本線複線電化促進連盟の名称を変更する考えを示した。

【JR関西本線】
稲森議員 JR関西線の加茂―亀山間は単線非電化区間で、乗車人員減と利便性低下の悪循環。沿線の一人として、関西本線にはポテンシャルを信じている。複線電化や利便性向上の取り組みは。JR西日本との関係も構築すべき。

鈴木地域連携部長 複線電化促進連盟が、長年にわたって複線電化を求めている一方で、利用者の減少に歯止めがかからない。目標は堅持しつつも、まずは利用促進と利便性向上を図る必要がある。60年にわたって続く連盟の名称の変更を検討したい。

【土砂採取】
稲森議員 伊賀市の農地で、長期間にわたって約70万立方メートルの土砂が無許可で採取されていた。ようやく県も業者を指導したそうだが、復旧作業の搬送車両に対する住民の不安もある。なぜ止めることができなかったのか。

岡村農林水産部長 伊賀市予野の優良農地で一時転用の許可を受けずに土砂が採取されていた。平成26年1月に市からの報告で把握した。21年以降、本格的に採取されたと考えられる。幹線道路などから見えず、違反行為への対応が遅れた。
■治療費助成条件緩和を ― 下野 幸助議員(新政みえ)
不妊治療費の助成や子ども医療費の窓口無料化について「対象条件が厳しい」と指摘し、緩和するよう要望。県子ども・福祉部は「厳しい財政状況であるが、所得の低い人への支援を引き続き実施する」とし、緩和しない考えを示した。

【不妊治療】
下野議員 不妊治療費の助成制度の周知が必要。助成金制度の所得制限が厳しいので、基準を緩和してはどうか。

田中子ども・福祉部長 県では所得の低い夫婦には国の補助金に上乗せして不妊治療費を助成している。平成30年1月の調査では、不妊治療の上乗せ助成は東海四県の中で三重だけ。経済的負担で子どもを諦めることがないよう支援を続ける。助成制度については産婦人科や保健所、不妊専門相談センターなどで案内している。

【福祉医療費助成制度】
下野議員 子ども医療費の窓口無料化では所得制限がある。子どもの貧困対策からもう一歩踏み出して対象を広げてはどうか。

福井医療保健部長 子ども医療費の助成制度は、一度導入して以降、財政状況が悪化したからやめるわけにはいかず、持続可能な制度運営を目指すべき。窓口無料化は県の補助制度を上回ってすでに実施しているところや検討しているところなど市町によってさまざま。福祉医療費助成制度はあくまで市町が事業主体であり、各市町の方針を尊重したい。
■獣害、抜本的な対策は ― 野口 正議員(自由民主党県議団)
野口議員は農地の獣害被害をはじめとする野生動物による被害を訴え、抜本的な対策を尋ねた。県当局は「捕獲を進めることが抜本的な対策」とし、害獣の効率的な捕獲方法を普及させる考えを示した。

【獣害対策】
野口議員 農村ではシカやイノシシの被害が相次ぎ、町でもアライグマやキツネが目撃される。県は獣害の問題をどのように捉えているのか。殺処分された動物をどのように活用するのかも課題。ジビエの安定供給や衛生面の対応は。

岡村農林水産部長 県内の獣害被害は減少しているが、十分に実感されていない。捕獲を進めることが抜本的な対策。効率的な捕獲技術の導入を進める。県は全国に先駆けてジビエの品質衛生管理マニュアルを策定した。ジビエの安定供給や消費拡大を進めたい。

【災害対策】
野口議員 岐阜県や和歌山県に比べて道路整備が遅れていると思う。県は予算がないと説明するが、安全を第一に考えるべき。なぜ道路の破損や白線の引き直し、草刈りといった道路保全の対策ができていないのか。

渡辺県土整備部長 線の引き直しは本年度から地域に分かりやすい実施箇所の選定基準を定め、優先度の高い箇所から実施する。河川に堆積した土砂は市町と優先度の高い場所で撤去している。いずれも優先度を明確にして、限られた予算を有効に使いたい。
<記者席 ― 「知事への忖度か」と皮肉>
○…「正答率を県の指標にすべきではない」との強い持論で知事に挑んだ山本議員。廣田教育長が答弁しようとすると「知事に答弁を求めている。時間を止めて」と強い口調で迫った。

○…その後は県教委を「知事への忖度(そんたく)か」と皮肉り、「政府の虚偽答弁やデータ改ざん、セクハラを児童に聞かれたら、どう説明するのか」という「教育現場の声」も紹介。

○…さらには「質問の趣旨が分からない」と答弁した鈴木知事を「読解力不足だ」と強く批判した。「正答率を指標にするな」と主張しつつも「知事の学力」は格好の批判材料らしい。