風力発電施設建設中止を 布引山地周辺住民 三重県に署名提出

【県の担当者(手前)に署名を提出した北澤氏(中央)ら=三重県庁で】

三重県の津市、亀山市、伊賀市にまたがる布引山地に風力発電施設を設置する事業を巡り、計画地周辺の住民らでつくる「加太の自然を守る会」は29日、事業の中止を求める4713人分の署名を県に提出した。施設の最大出力は県内最大規模となる見通し。住民らは風車から発生する低周波音による健康被害や景観の悪化を懸念している。

事業は中部電力グループのシーテック(名古屋市)が計画する「ウインドパーク布引北風力発電事業(仮称)」。約1300ヘクタールの尾根に40基の風車を設置する計画で、7年後の稼働開始を目指す。

風車は2千―4千キロワット級で、施設全体の最大出力は12万キロワットに上る。最大出力としては28年3月から稼働を始めた新青山高原風力発電所の8万キロワットを上回り、県内最大規模という。

同社は経済産業省に認可を申請するまでの前段階として、環境影響評価法に基づく手続きを29年10月に開始。手続きが定められた4段階のうち、既に2段階目の「環境影響評価方法書」を県に提出した。

加太の自然を守る会は、計画に反対する住民ら13人が2月に設立。昨年11月に「回覧板で計画を知ったことがきっかけだった」。亀山市の加太地区では昨年から、計画の説明会が開かれているという。

同会は3月1日から5月28日にかけて、事業の中止を求める署名を県内外から募った。ほとんどが計画地周辺の住民で、加太地区内では997人の住民うち半数以上の543人が署名したという。

同会は署名に添えた要望書で「加太地区は四方を山に囲まれており、予想以上の低周波音と反響音による健康被害が懸念される。風車から小学校や保育園までの距離が1・9キロと近すぎる」としている。

この日、同会の北澤利明代表(45)らが県庁で署名を提出。北澤代表は「最初はクリーンエネルギーで良い印象だったが、調べると良いことは何一つない。地区を出て行かざるを得ない状況になる」と訴えた。

署名を受け取った地球温暖化対策課の樋口俊実課長は「環境アセスメントの委員会には低周波音の専門家もいる。関係する部署にも要望の内容を伝え、対応に遺漏がないようにする」と返答した。