高齢患者への治療可能に 心臓カテーテル手術「TAVI」、三重県内で導入拡大

【カテーテルの先端にあるバルーンを膨らませて生体弁(中央)を設置するTAVI(三重大医学部付属病院提供)】

心臓の弁が硬くなる「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」の新たな治療法として、太ももなどから細い管(カテーテル)を挿入して人工弁に置き換える「経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)」が三重県内の医療機関で広まりつつある。体への負担を軽減し、開胸手術には耐えられない高齢者への治療を可能にした。「『胸を切りたくない』という人の希望をかなえられる治療法」(三重大医師)に注目が集まる。

大動脈弁狭窄症は大動脈弁が硬化し、血液の通過できる面積が狭くなる病気。胸が痛くなったり、歩行など軽い動作でも息切れしたりする。軽度の場合は薬で血圧などを調整し、重度の場合は手術で代わりの弁を取り付ける。これまでは開胸手術が主流だった。

TAVIでは、足の付け根からカテーテルを入れ、心臓からの血流の出口でバルーンを膨らませる。バルーンの中には、折りたたまれていた牛や豚の心臓の膜を材料にした生体弁があり、硬くなって動きにくくなった患者自身の弁の代わりに設置する。

最大の利点は開胸手術と比べて患者への負担が少ないことだ。開胸手術では2時間半―3時間程度かかるのに対し、TAVIは30分―1時間ほどで終わる。手術後は3―5日ほどで退院できる。海外では100歳を超えた患者をTAVIで治療した事例もある。

ただ、TAVIの治療は80歳以上が目安と対象者が限られる。治療で用いる生体弁の耐久年数は10―15年ほどで、何回も生体弁を入れることは難しいからだ。合併症の発生率は開胸手術とそれほど変わらず、事前検査で合併症のリスクを確認する必要もある。

県内では三重大医学部付属病院(津市)が平成27年に導入し、4月23日までに43人を治療した。ほかに伊勢赤十字病院(伊勢市)、市立四日市病院(四日市市)でも実施しており、各地域の中核病院の紹介で導入医療機関にかかる患者もいる。

三重大医学部付属病院の栗田泰郎医師は「高齢な患者さんほど開胸手術に抵抗がある。TAVIは『胸を切りたくない』という人の需要にマッチする」と説明。「まだTAVIの浸透が不十分なので、治療を必要とする患者さんに知ってもらいたい」と語った。