大観小観 2018年5月4日(金)

▼「政治家はうそつきではない」と言ったのはSF作家星新一である。「うそをついているとの意識はなく、とんでもないことを本気でそう信じているらしいからである」

▼柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が学校法人「加計学園」関係者と面会していたことを国会答弁で認めるという。「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」とコメントしていたが、学園関係者の後ろにいた県、市職員が記憶に残らなくても「うそをついたことにはならない」と、自民党幹部は整合性を示唆しているという。政治家の面目躍如である

▼官僚の柳瀬氏はどうか。その席で「外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」とも言っていた

▼うそをつく理由は人それぞれだが、うその天才とされる子どもの場合は叱られないためが多いと言われる。そういえば小4の時、買ってもらったばかりの野球のグローブをなくして学校に保管しているとうそをついた。雪深い冬場は保管庫にカギがかかっていることにした。6年生で退部した時は後輩に貸したことにし、卒業時にはそのまま貸し続けることにした。何度も本当のことを言えと追及されたが、最後のうそには何も言わなかった

▼うそはうそを呼ぶ。苦しい3年間だったが、友人の姉に友人の素行を聞かれて答えたとき、そばで友人の母親が「だめだめ。本当のことを言うわけがない」。図星だったが苦しい思いはしなかった。柳瀬氏はどちらか。安倍晋三首相はもちろん政治家である。念のため。