三重県議会 定数増、再び51に 条例改正を可決 賛成23、反対22の僅差

【定数増の条例案を賛成多数で可決した本会議=三重県議会議事堂で】

次回の県議選から45となる議員定数を現状の51に戻す条例改正案について、県議会は22日の本会議で、賛成23、反対22、退席2の賛成多数で可決した。これにより、来年4月の県議選は定数51で実施されることが確実な情勢となった。本会議の採決が常任委員会の審議結果を覆した議案は県議会史上で例がないという。一方、賛否が分かれた自民党会派では、定数増に反対した議員らが会派を離脱する方針。議員定数を巡る紛糾は県議会の会派構成にも波及することとなった。

採決では、新政みえ15人▽自民党4人▽共産党2人▽草の根運動いが1人▽青峰1人―の23人が賛成。新政みえ3人▽自民党13人▽鷹山2人▽公明党2人▽能動1人▽大志1人―の22人が反対。新政みえの下野幸助議員と鷹山の東豊議員が退席した。

本会議では、総務地域連携常任委の委員長を務める下野議員が条例案を賛成少数で「否決すべき」とした審議結果を報告。「委員間の意見を集約することが困難で、それぞれの政治的信条と信念で判断するという結果となった」などと説明した。

下野議員は退席の理由について、本会議後の取材に「一票の格差がどこまで許されるのかを議論したが、結論を導き出せず、判断できなかった」と説明。条例案を提出した西場信行議員は報道陣に「賛否が拮抗していたので、可決に驚いている」と述べた。

最新の国勢調査結果に基づくと、定数が45から51となった場合には「一票の格差」が1・66倍から2・93倍に拡大する。また、議員報酬を含めた議会の経費は定数6減が実現していた場合と比べて、年間約1億2千万円ほど多くかかるという。

議員定数を巡っては、県議会が平成26年、定数を6減の45とする条例改正案を賛成多数で可決。来年春の県議選から適用する予定だった。しかし、翌年の改選後に「人口減少が深刻な南部地域に配慮すべき」との意見が上がり、再び議論が始まった。

定数の見直しを検討した選挙区調査特別委の三谷哲央委員長は、定数を51とする条例案の提出を目指すも「合意に至らなかった」として断念。一方、定数減の地域から選出された5議員が「各議員に判断を委ねるべき」とし、この条例案を提出した。
■解説■ 議会は説明責任果たせ 経費削減も必要
約2年間に及ぶ議員定数の議論は本会議場での採決で決着を見たが、結果はわずか一票差での可決。当初は「できるだけ多くの合意で決したい」との共通認識があったが、結局は〝数の力〟で押し切った。

「南部地域に配慮すべき」「一度も選挙をせず元の定数に戻すのか」。定数を巡ってさまざまな議論が交わされたが、この二論が常に賛成派と反対派を分断した。結局は「水面下の交渉」が勝負を決した形だ。

報道陣の取材を受けた議員らは、相次いで「説明責任がある」と口にした。確かに説明責任は果たすべきだろうが、議員らでさえ理解し合えなかったことを県民にどうやって理解してもらおうというのか。

県には条例案への〝苦情〟が相次いでいる。eモニターと意見募集で賛否が真逆だった時とは異なり、ほとんどが定数増に反対の意見。しかも、多くが定数増による議会経費の増加を懸念する声だという。

まずはこの苦情に目を向けることが説明責任を果たすための第一歩だが、議会は定数を増やす代わりに議会経費を削減するための方法について検討していない。賛成した議員に尋ねても「それは別の話だ」と述べるにとどめた。

これでは例え説明を尽くしても理解など得られないだろう。財政難に陥る県で、議会だけが経費削減とは無縁で議論できるわけではない。説明責任を果たせるだけの「対案」が求められている。