伊賀市の高額土地賃料問題 百条委調査資料が流出 市役所に内通者か 三重

【証人喚問を受けた業者が提出した資料(右)。中谷委員が市側に渡した資料(左)のコピーだと判明した。】

三重県伊賀市が近鉄伊賀神戸駅近くで借りている土地の賃料が「高い」との指摘を受けている問題で、市議会百条委員会(岩田佐俊委員長、8人)の委員が調査のために作成した資料が、調査対象の不動産会社に流出したことが27日、分かった。この日、不動産会社が百条委の証人喚問で提出した書類に添付していたことで発覚。この委員は「市と業者の癒着を疑わせる資料だ」とし、流出の経緯を調べている。一方、この問題で委員から働きかけを疑われている中岡久徳市議が「市職員に入札参加業者の名前を聞こうとした」として、西口和成議員(自民青鵬)への調査を市議会に申し入れたことも判明。委員らは「中岡議員の報復だ」として警戒している。

証人喚問の提出で発覚 不動産会社前社長から
議会事務局によると、業者側に渡った書類はA3サイズの地図。中谷一彦委員(公明党)が情報公開請求で入手し、昨年末ごろの総務常任委員会で委員らに配布したという。議会事務局は「個人情報に当たる」として、傍聴者には配布していない。

中岡議員の妻で市の契約先に土地を売却した不動産会社の加奈子前社長が、証人喚問でこの資料を提出したことをきっかけに流出が発覚。同社側は委員から事前に質問を受けていた農地転用の経緯について説明するため、回答書に資料を添付していた。

この資料はもともと、同社が市に土地の農地転用を申請するために提出していた。しかし、業者がこの日の百条委に提出した地図には、中谷委員が入手後に書いたメモがある。中谷委員は「私のメモ書きのある資料を業者側が持っているはずはない」と話す。

中谷委員は問題を調査する一環で資料のコピーを数人の職員らに手渡したという。ほかに、百条委の委員や議会事務局の職員らもコピーを所有。取材に当たっている数人の記者らも同じコピーを入手している。資料はこのいずれかから流出した可能性が高い。

この日の委員会で、回答書を見た中谷委員は「こんな汚い字は私しか書けない。どこで入手したのか」と質問。加奈子氏の補助者は「恵佑さん(=現在の社長)から打ち合わせの際にもらった。どういった形で受け取ったかは分からない」と説明した。

中谷委員は業者側に対し、この資料を入手した経緯を詳細に説明するよう要請した。委員会後の取材に「市役所に内通者がいるに違いない。職員が問題を隠蔽(いんぺい)しようとしているならば大問題。圧力を受けなければ職員が隠蔽などしないはずだ」と話した。

渦中の中岡氏、調査申し入れ 西口議員、入札業者問い合わせか
一方、空森栄幸議長は27日の市議会代表者会議で、西口議員への調査を求める申入書を、2日付で中岡議員から受け取ったことを明らかにした。西口議員と市職員らの主張には食い違いが多く、議員らは市側に当時の対応を確認することで合意した。

申入書は市役所現庁舎の整備工事の基本計画や基本設計などを業務委託する入札について、西口議員が開札までの間に「入札参加者を教えてほしい」という旨の要請をしたと説明。「市民の代表者として品位と名誉を損なう行為だ」としている。

空森議長の依頼を受けて市が関係者に聞き取った結果によると、西口議員は昨年11月7日、藤岡淳次総務部長に携帯電話で入札の参加業者名を問い合わせた。藤岡部長は「後で電話する」と返答した上で、2日後に「知らない」と連絡したという。

これに対し、西口議員は市の聴取に参加業者名を聞こうとしたことを否定。「何社が来ているかという数は尋ねたが、どこが来ているのかとは聞いていない。入札が不調になる例もよくあり、うまくいっているのかを尋ねようと思った」としている。

また、藤岡部長は市の聞き取りに、西口議員から「6件だったと思うが、どこが参加しているのか」と聞かれたとしつつ、「自信を持っては明言できない」と説明。岡本栄市長は「藤岡部長からの報告は間違いなく入札参加者を問うものだった」としている。

空森議長はこの日の代表者会議で、西口議員に対する調査と懲罰に対する検討を求めた。これに対し、議員らは市が働きかけの要綱に基づいて対処をしていなかったことを問題視。空森議長の報告を受けてから、今後の対応を検討することで合意した。

ある議員は会議後の取材に「真偽が定かではなく、どこが問題に当たるのかが明確ではない。百条委から批判を受けている中岡議員の報復ではないか」と語った。中岡議員は取材に「会議で話したこと以上でも以下でもない」と述べるにとどめた。