スギ、ヒノキで木工品 尾鷲市の泉さん がん、脳梗塞乗り越え製作 三重

【尾鷲産のヒノキで製作したぐい呑みとどんぶりを持つ泉さん=尾鷲市光ケ丘で】

【尾鷲】胃がんと脳梗塞の闘病を乗り越え、三重県尾鷲市中村町の泉協次さん(75)が尾鷲産のスギやヒノキを使った木工品の製作に意欲を燃やしている。これまで水車や行灯(あんどん)などを手がけてきたが、新たにぐい呑(の)みとどんぶりにもチャレンジし、ますます意気盛ん。「手作業で一つずつ作った。いろんな人に活用してもらえたら」と話す。

泉さんはもともと大工。尾鷲中卒業後、大工として50年以上働いてきた。68歳の時、胃がんが見つかり手術を受けた。その1年後、脳梗塞で倒れた。左半身にまひが出たため闘病を続け、リハビリで動かせるまでに回復したが、今も少しまひが残る。

脳梗塞を機に大工は辞めた。ただ、「生きがいがほしい」と、7年ほど前から趣味で木材を使い、風呂桶(おけ)や行灯などを作り始めた。「作るのが好きで何でも手掛けてみたい」と泉さん。〝昔取ったきねづか〟を生かし、これまで百個以上の木工品を製作してきた。

作品は販売会などに出品してきたほか、施設に寄付したこともある。依頼があれば個々の注文も受け付けている。

今回新たに手掛けるぐい呑みとどんぶりは、市内の製材所で出たヒノキなどの端材を購入し、製作する。厚さ0・8ミリの端材を輪にした後、硬い棒などで木を均等にずらして作るため、指先の感覚が大切という。「左手に力が入らなくなり動かしにくい」と話すが、仕事で培った技術と経験でカバーする。

作業場は自宅から市バスで約10分ほどの場所にあり、ほぼ毎日通う。「これからも自分のペースでコツコツと作っていきたい」。創作意欲はなお衰えない。