在宅勤務、県内企業も注目 百五銀が試行 情報漏れ防止整う 三重

【在宅勤務を利用する村岡さん(右)=四日市市内で】

百五銀行(本店・三重県津市岩田、伊藤歳恭頭取)は今月から育児や介護で時間に制約のある行員などを対象にタブレット端末を利用した在宅勤務の試行を始めた。県内の金融機関では初の試みで、早ければ10月以降に本格的な導入に踏み切る。働き方改革が推進される中、在宅勤務に注目する企業が県内でも増加。背景には情報漏えいを防ぐための情報管理システムが整ってきたことがある。

百五銀行は今月4日から、津市の丸之内本部棟で働く行員約650人を対象にタブレット端末を使った在宅勤務を試行。所属長が認めれば、育児や介護で時間に制約のある行員のほか、希望者も利用できる。3月30日までの期間中、30人ほどの利用を見込む。

勤務形態の選択肢を増やそうと試行に踏み出した。5台のタブレット端末を用意し、希望者に貸し出している。資料作成や業務記録などに使う。在宅勤務の実施頻度は月30時間以内とした。4月2日からは営業店で同様の試行を実施する。結果を踏まえ、導入を検討する。

広報CSR課の村岡敏樹課長代理(39)は12日の午前に初めて在宅勤務を利用。この日は午前10時半に四日市市の店舗に行く予定で、市内の自宅から一度津市の本部棟に出社するよりも店舗に直行したほうが時間短縮になることから、在宅勤務を選んだ。

普段は午前6時50分に家を出るが、この日は同10時過ぎまで自宅で過ごせるため、小学三年の長女(8つ)と次女(1つ)を起こしてごはんを食べさせた。始業の同8時45分になると、リビングでタブレット端末の電源を入れ、メールのチェックや書類の作成に取り組んだ。

村岡さんは12日の在宅勤務を「仕事が始まると家でも集中できた。本社だと電話や面談の時間が入るが、書類作成に集中できたのでメリハリをつけやすかった」と振り返り、「自宅からそのまま店舗に行けたので接続がよかった。定期的に使いたい」と話した。

顧客情報など機密性の高い情報を扱う銀行員は、これまで情報漏えいを防ぐため、記録媒体などにデータを保存して社外に持ち出すことはできなかった。在宅勤務ができるようになったのは、データをインターネット上で管理するクラウドの活用が進んだからだ。

行員らはタブレット端末からインターネットなどを通じて同行のサーバーに接続。必要なデータを取り出して業務に取り組み、サーバーに保存する。サーバーから取り出せる情報に制限をかけているため、会社側は情報漏えいのリスクを減らすことができる。

こうしたクラウドを活用した在宅勤務に最近は注目が集まる。三重労働局は「以前はデータの漏えいを懸念してためらう企業もあったが、クラウド管理で漏えいのリスクが減った」と指摘。「パソコンを使った仕事が中心の職種では導入が広がるだろう」とした。

ウェブ戦略を支援するコンサルティング会社「Eプレゼンス」(四日市市)は子育て中の女性が働き、在宅勤務が中心。同社の担当者は「最近は在宅勤務に関心のある企業からの問い合わせが来る」とした上で「服務管理など手探りの面もある」と課題を明かした。

ただ、在宅勤務は導入できる職種が限られる。県内で最も就業者の多い製造業は仕事の形態上、導入が難しいのが実情だ。とはいえ、県内で人手不足が続く中、県内企業には多様な働き方の整備が求められており、在宅勤務も労働力を集める一つの方策になりそうだ。