2017年8月5日(土)

▼所変われば品変わる。品定めもまた―。改造内閣の発足を受け、鈴木英敬知事が「政策通で、説明能力の高い方々が多い印象。信頼回復を目指している」。自民党総裁三選危機回避に、安倍晋三首相が知恵を振り絞ったなどという見方はしないのだろう

▼斎藤健農林水産相に期待する理由が農業政策ではなく「海外の知見に詳しい」ため。GAP認証取得に有利という皮算用だが、農業改革の行方や、クロマグロの違反操業が都道府県随一だったことなどは気にならないらしい

▼野田聖子総務相への期待感は同感。「子育て世代の味方」は、兼任の女性活躍担当相としてだろうが、かつて国会議員の女性枠を主張し、特別扱いすべきではないという高市早苗前総務相と対立していた。放送法の解釈を巡り報道機関との間でぎくしゃくした関係を修正する深謀遠慮も、三選を目指そうという首相にはあった気がする

▼「説明能力の高い方々が多い印象」は、手堅い顔ぶれということか。人心一新とは逆行するが、知事がどうこう言うことではないのだろう。共同通信の7月世論調査は、内閣不支持率の理由の五割強が「首相が信頼できない」。根本を変えられない人事に、人心一新など関心外だったか

▼支持率急落は第一次安倍内閣の終末期を連想させるが、当時官邸スタッフだった知事は「年金問題もそうでしたけども、農水大臣が自殺をされた時の衝撃とか、追い込まれ感は半端なかった」。外にいる今は、当時との比較などとてもできないという。首相の危機感などはもう感じられなくなっているということかもしれない。