-障害児の療育に全力 子どもと家族の笑顔にやりがい- 「エンジョイ」社長 岩田貴正さん

【「子どもたちが社会の一員として自立できるよう全力を尽くしたい」と話す岩田さん=鈴鹿市算所で】

 鈴鹿市算所の「エンジョイ」は、発達障害や知的障害、ダウン症などの障害児に特化した放課後等デイサービス事業所として、平成27年に創業。同29年からは児童発達支援事業も加え、現在、元教育長や元教員、心理担当職員ら70人ほどのスタッフを置く市内6事業所に、約200人が通所している。

 昨年、福岡県に本校を置く通信制高校「明蓬館高等学校」のサポート校「鈴鹿欅高等学院」を開校。それに伴い、自立訓練事業所と福祉施設利用に必要な個別支援計画を立てる相談支援事業所も増設した。

 東京で2人きょうだいの長男として生まれ、小2の時、父親の転勤で名古屋に移り住んだ。名古屋弁に戸惑いながらも、人懐っこい性格ですぐに人気者になり、小中時代は学級委員や生徒会長も務めた。

 名古屋市で父が経営する保育用品販売会社「東海ワンダー」の販路拡大のため、鈴鹿市に三重支店を開設し県内の幼・保育園に屋内外の遊具や絵本、事務用品などを販売してきた。

 各地の園で発達障害児の対応に悩む保育士や、わが子が卒園後に通う小学校の放課後の居場所に不安を持つ共働きの保護者らの話を聞く機会があり、自分にできることはないかと模索し始めた。

 平成24年の障害者自立支援法と児童福祉法の改正により、障害児の通所支援事業「放課後等デイサービス」に民間企業の参入が可能になった。長年、保育の現場に勧めてきた安全性を重視した運動用具や遊具を障害児らの療育(治療と教育)に生かせると考え、県の認可を得て「エンジョイ」を創設した。

 音楽療法や社会生活訓練をする第1事業所をはじめ、エアトラックやクライミングなどの運動遊具を設置した運動療育型施設などを開所し、社会福祉士や介護福祉士ら経験豊かなスタッフらがサポートしている。

 「子どもの表情が明るくなった」「発達障害の長男を安心して預けられる場があるおかげで、長女とじっくり向き合う時間ができた」などの声に、子どもの笑顔が家族の笑顔につながる仕事だと、スタッフとともにやりがいを実感している。

 妻亜以子さん(38)と長男蒼右君(8つ)、長女凜夏さん(4つ)、次女芽依さん(1つ)の5人家族。「心安らぐ家庭を作り、何でも話し合える素晴らしいパートナーに恵まれて感謝です」と話す。

 今年4月には、不登校児のためのフリースクール開校を予定。また、障害者の一般就労定着をサポートする就労移行支援事業所の開設も準備している。「エンジョイの療育を通じて1人1人の個性や長所を伸ばし、将来、子どもたちが社会の一員として自立できるよう全力を尽くしたい」と熱く語った。

略歴: 昭和55年東京都で生まれる。平成15年「東海ワンダー」入社。同26年「エンジョイ」創業、社長就任。同年鈴鹿ロータリークラブ入会。同29年伊勢亀鈴会評議員選定委員会委員就任。