-ギリシャ特産、直輸入 現地体験ツアーも企画- 「イリオス グリークプロダクツ」代表、副代表 カランパス・ベリサリオスさん、茉記子さん

【「今後も、商品の販売だけでなく、いろいろなアイデアを2人で形にしていきたい」と話すカランパス夫妻=四日市市川島町で】

 四日市市川島町で平成28年に創業した「イリオス グリークプロダクツ」は、ベリサリオスさんの母国ギリシャ特産の蜂蜜やオリーブオイルを生産者から直輸入し、卸販売と直売を手掛けている。現在は、全国展開するオーガニックショップや市内のレストランなどへの卸売りとネット販売、イベント会場での直売で販路を拡大している。

 ギリシャのアテネに近いリゾート地ハルキダで3人きょうだいの長男として生まれ育った。18歳から2年間の兵役を終え、音楽の専門学校を卒業後、テレビ局に5年間勤務した。27歳の時、自身の可能性を広げようと単身カナダの親戚を頼って移住、日本から留学中の茉記子さんと出会った。

 ベリサリオスさんは、トロントでマンション管理業を起業、茉記子さんは旅行代理店に勤務しながら交際を深めた。4年後、互いの家族の祝福を受けてトロントと日本で結婚式を挙げた。夫婦で将来について話し合いを重ね、経済不況にあるギリシャでの暮らしより、比較的好調な経済状況にある妻の母国日本への移住を決意した。

 ギリシャの赤土で育った地中海固有のハーブ、ドングリ、オレンジなどから採取する栄養価と殺菌力に富んだ濃厚な味わいの蜂蜜、ギリシャの固有種オリーブ・コロネイキ種単一種で丁寧に作られたエクストラバージンオイルの輸入販売を日本での仕事に選んだ。いずれも欧州や北米では高い評価を受けており、その素晴らしさを日本の人々にも広め、ギリシャと日本の食文化の懸け橋になれたらと考えた。

 ハチミツもオリーブオイルも、ギリシャで生産者に直接会い、工程から品質、味までをチェックしたこだわりの商品の輸入を始めた。チラシやホームページ作成などの広報活動は、茉記子さんが担当した。

 2人は市内外で開かれるバザーイベント「マルシェ」や各地のデパートでのフェアに出店し、対面試食販売をしている。「ハチミツがこんなにおいしいなんて」「このオリーブオイル以外はもう考えられない」などリピーターが増え、より大きなサイズを求める声にも応えている。

 若者の失業率25%といわれるギリシャ。蜂蜜とオリーブオイルの輸入販売拡大によって需要を増やし、養蜂業やオリーブ生産業の雇用創出につなげたいと願っている。この活動が認められ、年に1回戻る故郷でテレビや雑誌の取材を受けることも多くなったという。

 商品購入によってギリシャへの興味を深めた顧客らと共に生産地を訪れ、養蜂場やオリーブ農場を巡り、現地の暮らしを体験してもらうツアー第1弾を今秋、企画している。「ギリシャの文化や歴史に触れ、思い出に残るツアーにしたい。今後も、商品の販売だけでなく、いろいろなアイデアを2人で形にしていきたい」と笑顔で語った。

略歴: 昭和56年ギリシャで生まれる。平成20年カナダに移住。同25年茉記子さんと結婚。同27年日本に移住。同28年「イリオス グリークプロダクツ」創業。同30年在日ギリシャ商工会議所入会。