地元の風景に愛着 学生時代はスロットカーに夢中 北伊勢上野信用金庫理事長 市川克美さん

モットーは「日々、新たな気持ちで努力すること」と話す市川理事長=四日市市安島2丁目の北伊勢上野信用金庫で

 北伊勢上野信用金庫は、四日市市安島2丁目に本店を持つ金融機関。現在、県内に32店舗ある。平成16年に北伊勢信用金庫と上野信用金庫が合併し、北伊勢上野信用金庫に名称変更した。
 
 小学2年生の時、テレビでスポーツカーのレース中継を見たことがきっかけで、自動車の模型作りを始めた。「ちょうど自分の家に、初めて車が来た頃だった。当時は大人も子どもも、自動車に憧れた」と懐かしそうに振り返る。

 模型作りの中でも、動力付き自動車模型「スロットレーシングカー」の競技に熱中した。近所にもレース用コースがあり、よく自分の車を競わせた。「操縦するのが面白い」と、その魅力について話す。

 中学卒業の頃には自分でモーターを改造するようになり、高校2年生の時には全国大会で4位になったこともある。この頃は毎週、名古屋のレース場へ行くのが楽しみだった。

 「もっと本格的なコースで走らせたい」との思いから、東京の大学へ入学。東京のレース場の規模に驚きながらも、競技に没頭。「車体が少しでも軽く、安定するように」と、車の改造に明け暮れた。

 大学卒業後は地元に戻って就職。商学部だったことや、親類が銀行員だったこともあり、金融機関は身近な存在だった。「東京は便利だったけど、ふるさとに愛着があった。いつ見ても変わらない鈴鹿山脈を見ると、ほっとする」と、生まれ育ったまちの存在は大きい。

 就職をきっかけに、模型作りはやめた。ちょうど、レース場も減少してきた頃だった。

 入庫後は営業からスタートした。営業のコツはないが、「とにかくお客さまのところに飛び込むことが大切。コミュニケーション能力が重要」と話し、「お客さまに喜んでもらえることが、1番のやりがい。地域の金融機関として、もっと地元に根付いた取り組みをしていきたい」と語る。

 モットーは「日々、新たな気持ちで努力すること」。自分自身への戒めでもあり、「そうありたい」との思いを込める。「なかなか簡単なようで難しい」と笑う。

 都会生活での反動か、就職後は自然回帰し、ヘラブナ釣りにはまったが、理事に就任してからは、自分の時間がほとんど無い。今は、少しでも時間があれば歩く。「近場でも、行ったことがない町はある。初めての場所で『そこの生活のにおい』を感じるのが好き」と、わずかな非日常を気分転換につなげる。

 「もっと時間に余裕ができたら、日本全国のいろいろな町を旅しながら、それぞれの地方のにおいを感じたい」と思いをめぐらせた。

略歴:昭和28年生まれ。四日市市出身。昭和54年北伊勢信用金庫入庫。平成18年企業支援部長、平成20年融資部長などを経て、平成23年理事長就任。