-心込め納得のケーキを 素材とシンプルさこだわる- 「クロード・リュッツ」オーナーパティシエ 森健(つよし)さん

【「将来は、チョコレートで作るオブジェ『ショコラアレンジメント』の教室を開きたい」と話す森さん=四日市市栄町で】

 JR四日市駅から市役所に向かって徒歩3分、フランス国旗が目印の「クロード・リュッツ」は、昨年10月にオープンしたばかりのケーキ&ギャラリーの店。本場フランスで腕を磨いたオーナーのこだわりは、素材の良さと飾り過ぎないこと。シンプルで洗練された味わいのケーキや焼き菓子は口コミで人気が広がっている。

 明るい店内には、仏・三つ星レストラン「ラ・ピラミッド」の伝説のデザート菓子「ガトーマルジョレーヌ」や香り高いラムレーズンのケーキ「コンコルド」、サクサク食感の「イチゴミルフィーユ」などのケーキ10種余と、ナッツや抹茶のクッキーが並ぶ。

 四日市市栄町で祖父の代から続く米穀店を営む両親の下、次男として生まれた。勉強は苦手だったが、活発な幼少期を過ごし、中部東小(現中央小)、中部中を経て四日市西高に進んだ。当時のテレビ番組「兼高かおる世界の旅」で、フランスの一流レストランで日本人少年が修業する様子に心を奪われた。

 フランスに行くための方法を模索し、フランスに付属校を持つ大阪あべの辻調理師専門学校に入学。1年間学んで調理師免許を取得した後、念願のフランス校に留学した。「仏語の授業についていくため、一生のうちで一番勉強した時期だった」と振り返る。

 憧れだった仏リヨンの著名シェフらの授業を受け、名高いレストランで前菜、メーン、デザートの下ごしらえから盛り付けまでの実技研修を重ねた。帰国後は同校職員として指導する傍ら、辻製菓技術学校創設に伴って有名パティシエの講習を2年間受け、菓子作りの奥深さに魅了された。東京の仏菓子店「マルメゾン」に転職してオーナーの独創的な技術を学び、再度、渡仏して仏最優秀菓子職人の称号を持つダニエル・ジローの店で腕を磨いた。

 帰国後、四日市市松本にケーキ&喫茶「ソフィー」をオープンしたが、経営面で採算が合わず1年で後継者に譲った。挫折を通して、菓子職人の腕だけでは店が立ち行かないことを実感した。以後、会社勤めをするようになり20年近く菓子作りから遠ざかった。

 「あなたにしか作れないケーキが食べたい」という妻芳子さん(55)の言葉をきっかけに再度の挑戦を決意した。自宅敷地に店舗を新築して1階は菓子工房と販売スペース、2階には趣味と集いの場として貸ギャラリーを併設した。日展入選や県展最優秀賞受賞経験があり、市内の小学校などで指導している書家芳子さんがギャラリーと販売を担当している。

 芳子さんとは小学校5年の時、同じクラスだった幼なじみ。「いつも笑顔で包み込んでくれる妻と2人3脚で、心を込めた納得のケーキを提供していきたい。将来は、チョコレートで作るオブジェ『ショコラアレンジメント』の教室を開き、三重から全国に発信していきたい」と笑顔で語った。

略歴: 昭和37年生まれ。同55年県立四日市西高校卒業。同年大阪あべの辻調理師専門学校入学。同57年大阪あべの辻調理師専門学校フランス校卒業。平成29年フランス菓子と小さなギャラリー「クロード・リュッツ」開店。