![]() 『人と人との繋がりを大切に』 第10回 桑名の千羽鶴を広める会 代表 高木文子氏
(高木) 桑名の千羽鶴は、今から200余年前に桑名(現在の三重県桑名市)の長円寺の住職、魯縞庵義道(ろこうあんぎどう)が考案しました。 彼は一枚の紙から、連続した鶴を折る方法を考案し、寛政9年(1797)に、2羽から最高97羽までの連続した鶴の折り方が記載された『千羽鶴折形』という本を発行しました。本は横に繋ぐだけの簡単なものから、五層に積み上げて折る立体的なものまで載っていて、実に驚異的な内容で、当時も話題をさらったらしく、『千羽鶴折形』は寛政12年(1800)に再版されています。 彼は変化に富んだ鶴を考案する決意のもと、18年という歳月をかけてこの折形を完成させています。義道は49種類だけではなく、もっと多くの種類を考案し、その中の一部を選んで刊行したと思われますが、残念ながら、考案の原本は残されていません。それでも魯縞庵義道により広まった桑名の千羽鶴は、その後も民間で脈々と遊びとして受継がれており、『千羽鶴折形』も現存していたことが幸いして、世界でも有数の古い遊びとして昭和51年(1976)桑名市の無形文化財に指定され、「桑名の千羽鶴」と名付けられました。 Q. この道に入られたきっかけを教えて下さい。 (高木) 桑名の千羽鶴との出会いは、昭和45,6年頃に桑名市の市民講座に参加したことです。その時は、桑名にこんなに素晴らしい文化があるのかと感動しました。 自宅が長円寺の近くだったこともあり、より桑名の千羽鶴には親近感を覚え、子育てをしながら趣味で千羽鶴を折るようになり、自分の子供や近所の子供たちに教えるようになりました。その後、様々な市民活動を通じて桑名の千羽鶴に興味を持つ人々と出会い、平成14年に仲間と3名で「桑名の千羽鶴を広める会」を発足しました。 初めに六華苑で講座を開いたところ、予想を超えて100名位の応募者が集まり、会の活動を通じて桑名の千羽鶴に対する認知度はあっという間に広まっていきました。その後は、毎年のように会員は増えており、現在は20名の会になっています。 Q. 桑名の千羽鶴の特徴について教えて下さい。 (高木) 桑名の千羽鶴は、魯縞庵義道の書いた『千羽鶴折形』に記載されている49種類の連続した鶴の折り方で折られた鶴のことを言います。 作り方としては、1枚の折り紙に切り込みを入れて、次々に鶴を繋いでいきますが、そのために、通常の折り紙と違い、材料は和紙を使うことを御奨めします。これは鶴と鶴をつなぐ部分が和紙でなければ切れてしまい、つないでいくことができないからです。 次に、通常折り紙は机の上に置いて折っていきますが、桑名の千羽鶴では机の上では折らず、常に手の上で折っていきます。これは、桑名の千羽鶴を机の上で折ろうとすると、鶴と鶴の繋がっている部分が机が引っかかって切れてしまうからです。 最初は難しいと思われますが、慣れると手の上で折る方が上手く折れるようになります。 折る前に製図をすることも特徴です。自分の折りたい形を決めたら、まず本に従い、紙の裏に展開図を書いていきます。その場合に大切な事は○印を忘れないようにつけていくことです。○印にむかって最初の三角を折っていくことで、見本と同じ鶴が出来上がる事を皆さんに教えていきます。 Q.桑名の千羽鶴を広める会を運営されていく中で、苦労したことはありますか? (高木) 材料となる和紙が桑名にはなく、手に入れるのに苦労しました。 元々は富山県の五箇山から仕入れていたのですが、職人さんが亡くなられ、和紙が手に入らなくなりました。そこで会のメンバーで探し回り、福井県の今立で作られていることが分かりました。会の立ち上げの時からお世話になっている知り合いのお店でその和紙を仕入れてもらえるようになり、現在は安定して和紙が手に入るようになりました。 Q.今後の活動の目標について教えて下さい。 (高木) 「桑名の子供達に桑名の千羽鶴を伝えたい」という思いでこの会を立ち上げ、活動してきました。 桑名市内ではかなり浸透してきたと感じています。 「桑名にはこういう文化があります」と胸を張って言えることは、子供達の成長にもきっと良い影響があるのではないでしょうか。 最近は、桑名だけでなく沖縄や広島からも桑名の千羽鶴を学びに来る人が増えてきました。今後は、桑名の千羽鶴を日本全国に、さらには日本の文化として海外にも伝えていければと考えています。 5年程前に、韓国の梨花大学で桑名の千羽鶴の講座を開き、大好評を得ました。 最近では、COP10名古屋の本会議のオープニング映像に桑名の千羽鶴が使われました。それもあってか、ワークショップを開催していたブースにも非常に多くの方々が訪れ、海外の人達も一生懸命千羽鶴を折っていました。 こうした出来事を通じて、桑名の千羽鶴は、日本の文化として世界に発信する価値のあるものだという自信が出てきました。 今は中部国際空港内に展示してもらえることになり、その為の作品を制作中です。 1人でも多くの人達に桑名の千羽鶴を観ていただけるよう、活動を続けていきたいと思います。 <おしまい>
伊勢新聞ホームページへ戻る |
||||
|
|