[戻る]2012年2月23日(木)  [ホーム]
▼「オレの目を見ろ、何にも言うな」は、北島三郎さんが歌う『兄弟仁義』。分かり合うのに言葉は不要。目を見れば十分と言っている。「私の顔を見て下さい。うそを言っているように見えますか」と言われると、何だか詐欺師の決まり文句の気がする

▼女性の動画を見せると、チンパンジーの赤ちゃんはしぐさを、人間の乳児は顔を見る。京都大の明和政子准教授らのチームが、だから人は顔色を見て物事を理解し学ぶ―と英科学誌に発表したと聞いて、顔色ではなく目の動きではないかと考えたのは身の程知らずなことだった

▼宮本武蔵は敵に対した時、目の玉を動かさず「常の目よりも少し細やうにしてうらやかに見る」。全体が見え、動きが読めるというのだが、動きを悟らせない効果もあるのだろう。相手の考えを知ろうとして目を見つめ、考えを知られないために目を伏せるのは私たちがよく取る行動だ

▼東京芸術大学美術学部は卒業に自画像制作を課しているが、学生らの悪戦苦闘ぶりをテレビで見た。見慣れているはずの自分の顔も、画家の卵が見れば、とらえるのは大変らしい

▼数年前、東京・東銀座の地下道の画廊で、女性画家が『三百六十五日の自画像』と題して多数の作品を展示していた。本人を見て驚いた。中肉やや小柄で、顔立ちはチャーミング。ところが自画像の八割は美人にほど遠く、小太り

▼「家で化粧はしないので」と言っていた。男性に比べてじっくり眺める時間の多い女性が、自分の顔をどう見ているか分かる気がしたが、顔色の観察力も、男性と女性では差があるのかもしれない。

  [戻る]2012年2月22日(水)  [ホーム]
▼松阪市の山中光茂市長らが、削減予定の県の放課後児童クラブ運営補助金の修正を鈴木英敬知事に求めた。本紙報道写真が伝える同席した飯南放課後児童クラブの中村豊子指導員の知事を見る目が、心なしかきつい

▼中村進一副議長が「同クラブは既存のシステムと違い、本当に困っている保護者たちが一生懸命つくり上げ、ここまできた。そこにくさびを打ち込まれる」。同副議長が指す「既存のシステム」が何かは知らないが、これまで一生懸命つくり上げた本当に困っている人らに手をさしのべるシステムが、いかに多く県政の方針転換で「はしごを外され」て、現場の担当者らが県に同じようなまなざしを向けてきたことか

▼「国が何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何をできるか」というケネディ元米国大統領ばりの問い掛けで県の意識改革を掲げた北川県政。本人は知事退任後の講演で「三百近い団体が補助金狙いに群がってきて」と語っている。そういう視点で補助金を一律切り捨てた。有力者がいたり、県の外郭団体は持ちこたえ、そうではない活動が壊滅的削減を受けた

▼県が始めたボランティア基金への補助をやめ、NPO活動を支援。県に担当組織を設けていた。ボランティアとNPOが対立。ボランティア活動家が激減した

▼「日のもとに新しきことなし」(旧約聖書)。鈴木県政も「災害ボランティア」担当を県に組織し、県単独の運営をめざす。県政のリーダーが変わるたびの猫の目行政。放課後児童クラブの場合は国が法に位置づけたため、そのことが浮き彫りになったにすぎない。

  [戻る]2012年2月21日(火)  [ホーム]
▼四月からの中学校武道必修化直前になって、対応に大わらわらしい。名古屋市教委の柔道安全指導検討委員会を設置し初会合を開いていた。「柔道安全指導について検討、報告する」のがお役目というから、いささかドロナワではないか

▼県でも昨年十月、教師の指導研修会開催が報じられていた。指導者不足対策として昨年度初め、隔年だった段位講習会も毎年開いて、有段者が同六月現在五十二人。それでも百六十七校すべてに配置できない可能性があるという

▼専用の武道施設を持つ学校自体も、五割に満たない。畳の代わりにマットを敷くという指導は、むしろ安全策ということか。ハードもソフトも不完全なままの見切り発車であることは間違いない。中学、高校の柔道事故の死亡者が二十八年間で百十四人。年平均四人以上という数字もある中で、心もとない話ではある

▼初心者指導のポイントが「遊びの要素を取り入れて」という。中学校の柔道部に一時所属したが、畳の上では緊張そのもの。一瞬の気を抜くことも許されず、あごを引くことだけを教わり、連日受け身ばかりさせられた。体格差のある上級生から投げられると、二階から落とされる心地がして受け身に真剣で、遊びというものではなかった

▼名古屋市の検討委でも、講師が「立った状態からでなく、まず寝転んでの受け身を」。そんな初歩的なことを今ごろという気がする。子どもの体力、モラルの低下と犯罪増加を「伝統文化を尊重する健やかな身体を養う」ことで解決する一挙両得、いや三得が武道必修の狙いという。何と分かりやすい。

  [戻る]2012年2月20日(月)  [ホーム]
▼部落解放研究第十七回県集会で堀忍実行委員長が「社会の深部に差別が根強く残る。新たな取り組みを」とあいさつしたのに対し、鈴木英敬知事が「不当な差別が残っているのは事実。一人一人の生活に関わる重要な問題」。取り組みについては、特に触れていない

▼差別対策も、県が年々予算を削減している一つ。大阪で建設・不動産業界の差別意識が問題になり、調査したら県の業者も浮上した。慌てて調査を始めたら深刻さが浮き彫りになってきたと言われる。東京都の司法書士らの戸籍不正取得事件も県の行政書士が関係していた。ほとんどが「部落出身かどうかの身元調査」と報じられている

▼桑名市長リコール不成立で全国紙の支局長から「桑名市は特殊な街か」と聞かれたと書いたら抗議の手紙がきた。「『特殊部落』を連想させ、桑名の人間として誇りを傷つけられた」

▼岐阜県中津川市と比較し、記憶に名古屋市議会リコール成立もあった。「他と著しく異なる」の意味で使ったのだが、日沖靖いなべ市長が旧大安町長のころ、交通事故を巡る紛争相手を「特殊な市民」と発言し問題になったことがある。語法は同じでそう受け取られたとしたら恐縮だが、抗議の手紙には逆に根強い差別意識をうかがわせた

▼旧大安町長発言の記事にも抗議の電話があったのを思い出す。紛争相手の住所について、その住所のすべてが同和地区ではないのに同じに見られるのは気の毒、と

▼鈴木知事が残っているとする「不当な差別」とはこういう実態。取り組みから徐々に手を引く予算措置に「心苦しく」はならないか。

  [戻る]2012年2月19日(日)  [ホーム]
▼証拠改ざんの報告を受けて、大阪地検特捜部幹部の心をまず占めたのは「関係者の人権を侵害したり真実を曲げてしまったのではないかという恐れではなく、裁判で検察側が不利になることへの心配だった」と、フリージャーナリストの江川紹子さんが同特捜部裁判傍聴記を雑誌『世界』に書いている

▼佐賀元明・元副部長は「間の悪い時に起きたな〜、と」と軽い調子で証言し、大坪弘道・元部長も、証人らが供述を維持してほしいと「天に祈る気持ち」

▼前田恒彦・元検事の同僚の国井弘樹検事が、他の検事と改ざん問題の善後策を話し合ったメールがある。「一般論として、言ってもいないことをPS(検事調書)にすることはよくある。証拠を作り上げたり、もみ消したりするという点では(改ざんと)同じ」。自称障害者団体への虚偽の公的証明書作成について、村木厚子・元厚労省局長の関与を上村勉・同係長に自白≠ウせた検事でもある

▼同特捜部裁判は最高検対大坪元部長らの争いだが、最高検の主張の元は前田、国井元現検事らの供述で、村木さんのでっち上げ裁判では「同じチーム」。「いわば仲間割れに過ぎない」と江川さんは書く

▼前田元検事が「検察官は裁判の一方の当事者。十枚のうち七枚が不利なカードなら出さない」。津地裁で、検察官が同じことを言うのを聞いたことがある。その前田元検事が小沢一郎・元民主党代表の裁判で不利な証拠や情報は頻繁に隠したと証言した

▼石川知裕衆院議員の隠し録音もある。東京地裁も秘書の自白≠セけの供述調書を証拠採用する気にはなれまい。

  [戻る]2012年2月18日(土)  [ホーム]
▼放課後児童クラブの補助金削減問題。鈴木英敬知事は「予算以外の方法を議論をしている。(結論は)なるべく早く出したい」。おや、県事業で、予算に表れない計画を策定する仕組みがあったのか

▼予算案発表で「放課後児童対策をもっとやりたかった」と語った。「しかしできなかった」という思いが言外にある。四日後の「県と市町の地域づくり連携・協働協議会」で松阪市の山中光茂市長から再考を求められたが、連絡の不備を認めただけで、再考は否定した。代わる妙案を考えているのなら、言い方があったのではないか

▼山中市長が批判したのは二つ。一つは削減そのもの。学童保育の運営を困難にするだけでなく、子育て支援縮小、雇用機会喪失、ひいては女性の社会進出への弊害につながる

▼もう一つは連絡の遅さ。発表二日前の決定通告では、同じく新年度予算案を策定中の共同事業者である市の財政部局も、事業を推進する学童保育の現場も混乱する

▼ことは放課後児童クラブの補助金だけではない。すべての継続事業で、県は共同事業者や現場の事情はお構いなしに予算を決定し、二月末日にかけて一方的に説明≠オていく。右肩上がりで、削減などはあり得なかった時代の慣行を、ずっと前年踏襲≠オてきたのである

▼そんな県予算の仕組みを百も承知で、知事は生活弱者への補助金の一律カットなど、苦渋の決断をしたのではなかったか。いまさら反発に慌て、個人的にも思い入れのある放課後児童クラブについてだけ「予算以外の方法」を考え、結論を出そうとしているわけでもあるまいが。

  [戻る]2012年2月17日(金)  [ホーム]
▼名張市立看護学校の着服問題は市の統治能力を大いに疑問視させたが、建物火災のがれき処理に架空経費を計上してつじつま合わせをしていたと聞くと、なるほどそういう体質だったからかと妙に納得させられる

▼発端は、り災者のがれきの無償処理が義務づけられている伊賀南部環境衛生組合が受け入れを断ったこと。「とんでもない話」と、今になって亀井利克市長は憤慨して見せるが、その当座はお膝元の市も、り災者が産業廃棄物処理業者に依頼するのを黙認したばかりか、費用の一部&薗Sを申し入れている

▼正規の会計処理で費用を捻出できないことは百も承知。だから、ありもしない砂利運搬をあったことにして請求書を提出するよう業者に依頼したのだろう。後に痕跡の残らない「運搬」にしたのは、架空経費づくりのイロハを心得ている。支出を「消耗品費」にして、さらに一工夫というところか

▼副市長が「不適切な経理」を認めた上で「り災者に迷惑や負担を掛けたくなかった」と釈明している。適切な法・規則を執行できなかったための苦肉の策だったことはほおかむりか。県の巨額の裏金づくりも最初は「県民のため」の費用の捻出だった

▼カラ出張、架空残業、架空工事の裏金づくりの三本柱のうち一番問題なのが架空工事。業者を巻き込むことで借り≠つくり、さらに「不適切な処理」を迫られる。抜き差しならなくなり、癒着となって公正・公平な行政が阻害される

▼昨年監査委員の指摘を受け、市は「り災者に配慮して報道発表は差し控えた」。報道発表は、できなくなるのである。

  [戻る]2012年2月16日(木)  [ホーム]
▼奈良県の総務部長が、リニア中央新幹線の中間駅への同県と京都府との誘致合戦を報じた産経新聞に対し、インターネットの交流サイト「フェイスブック」で抗議と不買運動を県民に呼び掛け、取材を受けると「産経新聞が不穏当に思ったのであれば削除し謝罪する」

▼「個人としての意見。筆が滑った。友達以外は見られないという認識だった」と釈明しているが、今や世界に鳴り響く「フェイスブック」であり、肩書きも書き込んでいた。報道によると、文面は「キター、奈良県民の皆さん、気合い入れましょう! この対等の書(き)ぶり」。長年誘致活動をしてきた同県と最近名乗りを上げた京都府・市とを同列に扱ったのが気にくわぬというわけだが、何とも威勢がいいというか軽いというか

▼産経新聞が、この部長の他の書き込みも掲載していた。民放やNHKに昨年九月の紀伊半島豪雨の映像提供を要望したが「案の定断ってきよった。とほほ・・・」。例の軽い書き出しで「私の経験では、役人以上に民間は頭固い。思考停止。おっさんあほ、傲慢」と続け「特にマスコミはその傾向強い」

▼役人以上に頭が固い民間とは「マスコミ」に限らないということか。最後の「公務員改革もやるなら、どうぞ偉そうなマスコミ改革も」の指摘には粛然とするが、言うに事欠いて広く「民間」にまで当たり散らしては、行政マンとして資質が問われないか

▼総務省からの出向組。屈折した思いでもあったか。「表現の行き過ぎがあった」と知事が口頭注意したという。表現の問題かどうか。そうだとすれば、それはそれでお粗末。