知る機会を大切に − 水谷令子さん


【「知る機会を増やすことが大事」と話す水谷名誉教授=桑名市額田の自宅で】

 専攻分野は調理科学と書食文化学。「イスラム圏は私たちのイメージより、女性の活躍がすごいのよ。日本の女性の方が社会参加は低いわね」と話す。キルギス友好協会事務局長に就いたことがきっかけで、約20年間にわたって毎年シルクロードを旅し、地域の人々を訪ねて話を聞いたり、郷土料理を教えてもらったりしながら、各地の生活文化調査をしてきた。「知らないから偏見を持つの。だから、知る機会を増やすことが大事ね」と穏やかな笑顔を見せる。
 調査結果は1冊にまとめて出版した。ほかにも著書は多い。
 3姉妹の長女として、愛知県田原市で生まれ育った。貧しかったが、教育熱心だった父親のおかげで大学に進学することができた。「田舎だったし、大学へ進学する女性は少ない時代だったから、珍しがられたわね」と振り返る。
 大学卒業後は愛知大学短期大学部などで食物学を教えてきた。28歳で結婚し、子育てがひと段落ついた頃「もう一度ちゃんと勉強し直そう」と、農学博士の学位を取得した。65歳で鈴鹿国際大学を最後に退職したが、現在も食文化については研究を続けている。
 「勉強することが仕事だから、手を抜いてはいけないと思っているの」と、いつまでも努力家で勉強熱心なところは、きっといくつになっても変わらない。

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