三重大 「肺動脈幹温存法」で手術成功 移植以外で世界初

【新しい手術方法について説明する小沼講師(右)=津市栗真町屋町の三重大で】

【新しい手術方法について説明する小沼講師(右)=津市栗真町屋町の三重大で】

【津】三重大は四日、心臓に二つの先天性心疾患を抱える伊勢市の男児(1つ)に対し、独自考案した「肺動脈幹温存法」で手術を実施し、成功したと発表した。一般的に必要とされる移植手術をしない方法で、救命例は世界初という。

 肺動脈幹温存法は、心臓周辺の血管を利用して酸素や栄養を供給する術法。ほかの部位の血管を移植して酸素などを確保する従来の術法に比べ、死亡の危険性を抑えられるのが特長という。

 男児は、心臓の左側がほとんど機能していなかったほか、心臓に酸素などを送る血管が本来の役割を果たしていない状態で、治療しなければ一カ月以内に死亡すると診断されていた。

 同大医学部付属病院心臓血管外科の小沼武司講師(47)は、男児の身体への負担や移植した場合の悪影響などを考慮し、肺動脈幹温存法での手術を判断。昨年四月、約十時間に及ぶ執刀に臨んだ。

 男児は昨年年八月に退院し、現在は順調に回復しているという。男児の母親は三重大を通じて「難しい病気を助けてもらったので、大事に育てていきたい」とのコメントを寄せた。

 この日、三重大で記者会見した小沼講師は「この新しい手術方法を使えば、合併症のリスクを減らし、多くの命を救うことができる」と語った。