<57>三重県立看護大学附属看護博物館(津市)

 5月12日は「看護の日」です。この日は、近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日で、それを記念して1965年に国際看護協会が「国際看護師の日」と定め、日本では1990年に旧厚生省が「看護の日」と定めました。
 ということで、今回の「博学」は、看護にちなんだ博物館を紹介しましょう。
 津市にある三重県立看護大学附属看護博物館です。
 三重県立看護大学の図書館2階にある小さな資料館ですが、1300点以上の資料を所蔵しています。一風変わった内容の博物館ですが、看護の歴史について少し学んでみましょう。

◆企画展「免状と写真で綴る看護職者の歴史」
 現在、同館では企画展「免状と写真で綴る看護職者の歴史」が行われています(右写真)。古くは明治40(1907)年のものから、新しいものでは平成のものまで、看護職者に送られた免状などを中心に、看護職者のあり方がどのように変遷していったかを紹介しています。
 明治時代には「看護」という言葉は使われておらず、しかも現在のように確立された職業ではありませんでした。明治40年に発行された合格證書を見ると、当時お産に立ち会ったは「産婆」と呼ばれていました。
 日本で「看護婦」という職業が確立したのが大正4(1915)年で、「看護婦規則」が定められ、ここに初めて「看護婦」という言葉が登場します。企画展の展示にも、昭和7年に出された免状に「看護婦試験合格之證」とあります。

◆高度専門化した看護師の仕事
 そもそも看護師とは、医師の指示のもとで医療の補助をし、傷病者やじょく婦(産前産後の女性)の療養上の世話をする職業の人のことです。その業務範囲は多岐にわたり、常に体力のいる仕事です。
 近年では医療が飛躍的に発展し、高度専門化しました。それに伴い、看護の仕事も高度専門化に対応せざるを得なくなってきました。しかも高齢化社会の到来で医療ニーズも多様化しました。
 そういった時代の波を受けて、日本看護協会では「認定看護師」「専門看護師」といった新たな資格制度を設け、特定分野に精通した看護師の養成に力を注いでいます。
 認定看護師は、現在「救急看護」「皮膚・排泄ケア」「がん化学療法看護」など21の専門分野が定められ、全国で14,172名の認定看護師が活躍しています。三重県では180名が認定されています。
 専門看護師は、さらに高度な11の専門分野があり、全国で1,466名の専門看護師が活躍、うち三重県では20名が認定を受けています。

◆開学15周年を記念して
 同館は、三重県立看護大学の図書館の一角にある小さな博物館です。平成24(2012)年、同大学の開学15周年を記念してできたものです。看護の歴史を語るものがだんだんと失われつつあるものが多く、看護の歴史を残していくために、大学で資料を収集し、保存・継承していく目的で設立したものです。
 誰もが1度はお世話になっている看護師。一度学びに来てみませんか。

 次回の「博学〜博物館で学ぶ〜」は、四日市市楠歴史民俗資料館を紹介します。WEBは5月14日(土)更新、新聞特集は5月15日(日)掲載予定です。

<施設案内>
三重県立看護大学附属看護博物館
開館時間月火木金曜日10:00〜16:00
水曜日   10:00〜18:30
休館日土日曜日、祝日、年末年始、第1木曜日
入館料無料

津市夢が丘1-1-1 〒514-0116
TEL 059-233-5608 / FAX 059-233-5668
伊勢自動車道津IC、芸濃ICから車で約10分
近鉄津駅西口より三交バス夢が丘団地行きに乗車、看護大学前バス停下車すぐ





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