<45>相差海女文化資料館

 今回は鳥羽市相差(おうさつ)町にある相差海女文化資料館を紹介します。
 鳥羽市・志摩市の志摩半島沿岸は、日本一海女が多い地域です。中でも鳥羽市最南端にある相差町は、鳥羽志摩地域最多の117名の現役海女さんが活躍しています。
 相差海女文化資料館は、かつてこの地が長岡村と呼ばれていた頃の村役場を資料館として活用したところで、小さいながらも海女道具や海女の写真、絵画、彫刻などが所せましと並んでいます。
 相差町と言えば、女性の願いを一つは叶える「石神さん」で有名となり、今ではこの小さな町に年間20万人ほどの参拝客、観光客が訪れるようになりました。周辺には海女小屋や土産物店など観光施設が増え、非常ににぎわっています。
 そこで、今回このページ「博学WEB」では、資料館周辺にある相差町の名所を紹介することといたしましょう。資料館の内容については2月14日付伊勢新聞「博学」コーナーで詳しく紹介します。

◆女性の願いを叶える「石神さん」
 相差町の北はずれの小高い丘の上、神明神社という神社の境内に、近年女性たちが大勢列をなして参拝に訪れるスポットがあります。神明神社の末社の1つ、石神社(右写真)です。「石神さん」とよばれていて、古くから海女たちが安全祈願のためにお参りをしてきた神様です。転じて、女性の願いを叶える神様と言われるようになりました。アテネオリンピックで金メダルを取った野口みずき選手も、石神さんのお守りをつけて走ったそうです。
 平成22年のゴールデンウィーク前にテレビ番組で紹介されて以来、パワースポットブームもあって、全国から多くの女性が訪れるようになりました。伊勢神宮式年遷宮のあった平成25(2013)年には、約25万人もの人がこの小さな小さな相差の地を訪れました。
 筆者が取材に訪れた日は普通の平日だったにもかかわらず、石神さんの前には女性たちがずらり。付近の駐車場は満車で、車で行くにも大変でした。

◆海女と漁師のまち。相差
 相差町は、海女さんと石神さんという、2つの大きなコンテンツを有する町です。中でも石神さんを核にしたまちづくりが成功し、全国でもモデルケースとなっています。
 石神さんに向かう参道にはいくつもの小さな店ができました。中には現役海女さんが開いているお店もあり、新鮮魚介を販売しているところもあります。
 参道の中ほどに、約80年前の古民家を改修して店舗にした「海女の家 五左屋」があります(右写真)。鳥羽の特産品や、セーマン・ドーマンのグッズなど、海女さんに関連したさまざまな土産物を販売しています。2階はカフェになっていて、ゆっくりと休憩できるようになっています。
 また近くには「海女小屋」といって、かつては海女たちが着替えたり、漁の後にかまどの火を焚いて身体を温めたりした場所を観光客向けに開放した施設もいくつかできました。海女さんたちが新鮮な伊勢えびやアワビ、サザエなどを焼いてくれ、海女さんたちと談笑しながらひとときを過ごせる、楽しい施設になっています。

 今回のWEBページは「学ぶ」よりも「楽しむ」というような内容でした。いや、むしろ今回は相差町のまちおこしのあり方を「学ぶ」という内容にしてみました。非常に小さな町ですが、今活気づいてます。ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。もちろん、相差町海女文化資料館もしっかりと訪れてください。

 次回の「博学〜博物館で学ぶ〜」は、鈴鹿市考古博物館を紹介します。WEBは2月20日(土)更新、新聞特集は2月21日(日)掲載予定です。

<施設案内>
相差海女文化資料館
開館時間9:00〜17:00
休館日年末年始
観覧料無料

鳥羽市相差町1238 〒517-0032
TEL 0599-33-7453
第二伊勢道路白木ICから車で約20分
JR・近鉄鳥羽駅よりカモメバス鳥羽−国崎線で約50分
「相差」バス停下車、徒歩約5分





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