<30>だんじり会館

 伊賀市の中心地・上野城城下町では、10月23から25日まで「上野天神祭」(右写真)が開催されています。市街地の古い町並みを、豪華絢爛な9基のだんじりが練り歩き、町じゅう一帯が盛り上がりを見せています。
 そこで、今回の「博学〜博物館で学ぶ〜」は上野天神祭で使われるだんじりを展示する「だんじり会館」を紹介します。なお、祭礼に使う本物のだんじりを展示する施設ですので、祭開催中の10月23〜25日は、展示物となるはずのだんじりは町へ出ていてありません。休館しておりますのでご注意を。また後日訪れてご覧になってください。
 また10月25日付の伊勢新聞「博学」コーナーでも上野天神祭のだんじりについて詳しく解説しておりますので、そちらもご覧ください。

◆だんじりとは・・・
 「だんじり」といえば、大阪府岸和田市の「だんじり祭」が有名ですが、近畿地方を中心に西日本の広い地域で、祭礼で用いる山車や祭車を指す言葉として使われています。三重県でも主に伊賀地域で使われています。
 だんじり会館の展示をご覧になるとお分かりになるかと思いますが、行列には「しるし」と呼ばれる祭壇があって、祭車がその後ろ(尻)をついて行くことから、その祭車を「だんじり(=壇尻)」と呼ぶようになったとされています。
 たとえば右写真でいえば、右側にあるのが「しるし」=祭壇で、その後ろ(左側)に赤い祭車=だんじりがついています。このようにしてだんじりが曳行されます。
 だんじりは、上野城下9町それぞれが競うように飾り立てるので、祭の日には町じゅうが華やかな雰囲気に包まれます。


◆上野の方々が大事にしてきた400年の伝統
 天正9(1581)年、織田信長による天正伊賀の乱で、伊賀国各地の郷村がことごとく焼き払われ、寺社なども焼失しました。乱後伊賀国主となった筒井定次は、それ以前にあったとされる上野天神宮を復興させ、後に領主となった藤堂高虎は近世城下町を築くにあたり、現在の地に上野天神宮を移して一郷の惣社と定めました。
 その後城下町の発展とともに上野天神宮の祭礼も復興の動きが出てきて、万治3(1660)年9月25日、天正伊賀の乱より79年の歳月を経て祭礼が復活しました。その際、神輿が城中を遊行することを許され、現在のだんじり曳行の起源にあたるものがここに誕生しました。以来、上野城下でも経済の中心地となった三筋町商人らが中心となってだんじり曳行を受け継ぎ、現在に至ります。
 伊賀上野の中心街では、上野天神祭とだんじりをとても大切に受け継いできました。平成14年には国指定重要無形民俗文化財の指定を受けました。現在はユネスコ無形文化遺産登録に向け、手続きが進められていて、来年平成28年の登録を目指して申請が行われています。

 次回は、大黒屋光太夫記念館(鈴鹿市)を紹介します。WEBは10月31日(土)更新、新聞特集は11月1日(日)掲載予定です。

<施設案内>
だんじり会館
開館時間9:30〜17:00
休館日4月第2第3土日のいずれか1日、10月23〜25日、12月29日〜1月1日
観覧料 一般大人500円、小人300円
団体大人400円、小人200円(30人以上)

伊賀市上野丸之内122-4 〒518-0873
TEL 0595-24-4400
名阪国道上野東ICより車で約5分
伊賀鉄道上野市駅より徒歩約5分





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