第17回目の「博学〜博物館で学ぶ〜」は、名張市赤目四十八滝入口にある日本サンショウウオセンターです。7月の1ヵ月間続いた水族館シリーズも最終回となります。
赤目四十八滝のある赤目渓谷は、国の特別天然記念物オオサンショウウオが多く生息する自然豊かな場所で、室生赤目青山国定公園の一部として指定を受けているほか、「日本の滝百選」「平成の名水百選」「森林浴の森百選」「遊歩百選」にも選ばれています。
これから夏にかけて、涼を求めて赤目四十八滝を訪れる人は増えると思いますが、このページ「博学WEB」では、オオサンショウウオの一大生息地・赤目四十八滝渓谷について紹介しましょう。
26日(日)付け伊勢新聞「博学」コーナーでは、オオサンショウウオの特徴や生育条件など詳しく解説します。
◆夏本番!涼を求めに赤目四十八滝へ
赤目四十八滝は四季折々の景観がきれいな渓谷で、年間約17万人もの観光客が訪れる一大観光地です。秋は紅葉の名所(写真)ですし、これから夏にかけては涼を求めて訪れる人も多いことでしょう。
実は、オオサンショウウオも涼しいところが大好き。夏でも水温25℃以下になる涼しい清流に多く生息します。赤目四十八滝ほか伊賀地域の山間部はオオサンショウウオの生育にふさわしく、数多く生息していると考えられています。
ということは逆にいうと、オオサンショウウオがすめる場所は涼しい土地だということもできるわけです。筆者が取材に訪れた日は雨上がりのじめじめした日でしたが、いざ渓谷に入るとマイナスイオン効果か、非常に涼しくて爽快な気分になれました。
この夏は赤目四十八滝へ、涼を求めて、そしてオオサンショウウオに会いに来てみませんか。
◆オオサンショウウオが忍術指南??
赤目四十八滝はその昔、伊賀流忍術の修行場として開かれていました。一説では伊賀流忍者の発祥の地とも言われていて、赤目四十八滝からさらに下流に下った竜口というところに、伊賀流忍術の祖・百地三太夫の屋敷が残っています。
自然が厳しい場所で、古くから山岳信仰の聖地としてあがめられました。奈良時代には修験道の開祖・役の小角(えんのおづぬ)の修行場としても伝えられています。その延長か、伊賀流忍者の修行場としても使われました。それを暗示するかのように「不動滝(写真)」「行者滝」という名がつけられた滝もあります。この真下で滝行が行われていたのかと想像が膨らみますね。
さて、赤目渓谷周辺に多くすむオオサンショウウオですが、実は夜行性で、昼間は岩場で隠れていることが多いため見かけることは少ないです。それでも繁殖期をはさんだ5月〜10月は比較的見つけやすいそうです。特に川の水量が少ないときは見つけやすくなりますし、また雨で岩肌が濡れているときも偶然見かけることがあるようです。
そのオオサンショウウオの身隠れの技や、暗闇での行動などが忍術のヒントになったとも想像されています。「雲隠れ」などの原型はオオサンショウウオだった??とするとおもしろいですね。実はオオサンショウウオが忍術指南役だったかもしれません。
ちなみに、日本サンショウウオセンターの手前に、体験型忍者修行アトラクション「赤目四十八滝 忍者の森」があります。「水ぐもの術」や「手裏剣術」など約90分の忍術修行が体験できます。子どもたちには楽しいプログラムが10以上も用意されています(写真)。
日本サンショウウオセンター、赤目四十八滝とともに、この夏ぜひ家族で訪れてみてはいかがでしょう。
次回は、パラミタミュージアム(菰野町)を紹介します。WEBは8月1日(土)更新、新聞特集は8月2日(日)掲載予定です。
<施設案内>
日本サンショウウオセンター
開館時間 | 8:30〜17:00(12〜3月は9:00〜16:30) |
休館日 | 12月28日〜31日 |
観覧料(入山料) |
個人大人400円 小・中学生150円
団体 30名以上1割引き 100名以上2割引き 300名以上3割引き
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名張市赤目町長坂861-1 〒518-0469
TEL 0595-63-3004 FAX0595-63-8400
http://www.akame48taki.com/miru.html
近鉄赤目口駅より三交バスで約10分、「赤目滝」バス停下車
近鉄名張駅より車・タクシーで約15分
名阪国道 上野ICから車で約40分
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