<12>うつべ町かど博物館(四日市市)

 第12回目の「博学〜博物館で学ぶ〜」は、四日市市にあるうつべ町かど博物館を紹介します。
 四日市あすなろう鉄道が運行を開始してはや2か月が経ちました。実は、四日市あすなろう鉄道内部線は、旧東海道に沿うように走っていて、東海道散策にちょうどいい電車です。
 ということで、今回と次回の2回にわたって四日市あすなろう鉄道内部線沿線にある博物館を訪ねて東海道を旅してみます。
 21日付の伊勢新聞「博学」特集でもうつべ町かど博物館を紹介します。こちらもどうぞご覧ください。このページ「博学WEB」では、博物館周辺の東海道の見どころを紹介します。ぜひ四日市あすなろう鉄道に乗って東海道を味わってみてください。

◆杖衝坂を歩く
 うつべ町かど博物館は、旧東海道・杖衝坂(つえつきざか)の中ほどにあります。ヤマトタケルノミコトの伝説で有名な坂です。東国遠征からの帰りに病で疲れ果て、この急坂を上りきれずに腰の剣を杖代わりにして上った、という伝承が残っています。疲れ果てたヤマトタケルでなくても、一般の人が普通に上ってもしんどい坂です。
 坂の途中に「史跡杖衝坂」の碑(右写真)があって、その脇に松尾芭蕉の句碑もあります。

   歩行(かち)ならば 杖つき坂を 落馬かな

 「普通に歩けば越えられる坂を、馬に乗ったまま上ったから落馬しちゃった」というような軽いダジャレ的な句で、芭蕉にしては珍しい感じの句です。しかしそれがために「杖衝坂」の名が広く知れわたることになったのです。
 坂を上りきったところに、「血塚社」(右写真)というちょっと生々しい名前の場所があります。鳥居をくぐると祠があって、「日本武尊血塚」と書いてあります。いろんな伝承があるようですが、ヤマトタケルノミコトの血で染まった石を集めて葬ったところと伝えられています。
 急な坂で大変ですが、坂の途中からは四日市の市街地やコンビナートなどが遠く眺められます。かつての旅人達もここからの眺めにしばし疲れを忘れたことでしょう。



◆意外にも残っている旧東海道のおもかげ
 うつべ町かど博物館の周辺を歩いて、旧東海道をたどってみましょう。
 杖衝坂を上ってからさらに西に向かってみると、古い民家と草むらが交互に現れます。現在はすぐ北側を、山を削って国道1号ができていて地形は変わっていますが、おそらく昔はこの細道が山の尾根筋だったのでしょう。そのまま800mぐらい歩くと国道1号と合流します(右写真)。新旧東海道がここでつながります。


 反対に坂を下り、北に向かうといいまちなみが残っています。特に、四日市あすなろう鉄道内部駅からさらに北の旧道に一歩入って旧東海道の跡を歩くとなかなかいい雰囲気になります。道中には小許曽(おごそ)神社や大蓮寺、慈現山観音寺など、昔をしのばせる寺社がかたまっている地区もあります。特に観音寺の山門は異国を思わせるような趣(右写真)で、しばし時を忘れそうです。
 そうした寺社巡りをしながら歩いていくと、日永の追分にたどりつきます。追分周辺から北は…次回紹介いたします。

 次回は、東海道日永郷土資料館(四日市市)を紹介します。WEBは6月27日(土)更新、新聞特集は6月28日(日)掲載予定です。



<施設案内>
うつべ町かど博物館
開館日毎週水・土・日曜日、祝日
開館時間9:00〜12:00
観覧料 無料

四日市市釆女町3473 〒510-0954

TEL 059-347-1224
四日市あすなろう鉄道内部駅下車徒歩約10分
四日市駅から車で約15分





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