第3回 中部電力株式会社川越火力発電所

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【中部電力株式会社川越火力発電所=三重郡川越町内高松海岸にて(中部電力株式会社川越火力発電所提供)】

 総合エネルギーサービス企業の中部電力株式会社(名古屋市東区東新町、水野明久現代表取締役社長)は、平成元年に当時最高水準の発電効率を誇る、大容量機では世界初の超々臨界圧プラントとして三重郡川越町に中部電力株式会社川越火力発電所を建設。

 燃料にLNG(液化天然ガス)を使用する同発電所は、安定供給・地球環境保全・経済性に定評があり、世界の火力発電所の中で総発電出力第4位の規模を誇る。

 また、発電所構内には同社の西のPR拠点として役割を果たすコミュニティ施設「テラ46」や発電所で使われる熱を利用した温水プールも併設されており、地元は勿論、広く中部地方全域からも愛され、利用者が絶えない。

 第3回は中部電力株式会社川越火力発電所より、佐藤博之業務課長、岩岡覚設備管理長に同社及び発電所の取り組みなどに関して、Q&A方式でのインタビューを行った。

【岩岡覚設備管理長】
Q.総発電出力世界第4位の川越火力発電所が電力をカバーする地域についてお話ください。

(佐藤)
 中部電力株式会社(以下 弊社)は、主に三重県(一部を除く)、愛知県、岐阜県、静岡県(富士川以西)、長野県のお客さまへ電力を供給しておりますが、川越火力発電所は、弊社全体の年間発電電力量の約20%、三重県の年間電力需要と比較すると約1.5倍の電力を発電できる大規模な発電所です。

Q.川越火力発電所の発電方式について簡単にお話ください。

(岩岡)
 まず、川越火力発電所の特徴として、燃料にLNG(液化天然ガス)を使用しており、火力発電の中で最も二酸化炭素の排出量が少ない点が挙げられます。
 次に、川越火力発電所では4つの発電施設で非常に熱効率の高い2つの発電方式を採用している点です。
 1.2号機の発電施設では、蒸気タービンで発電機を駆動して発電する汽力発電方式の中でも、蒸気の圧力(31.0MPa)や温度(566℃)を高めた超々臨界圧二段再熱発電方式を採用しており、高い熱効率46.3%を達成している点が特徴となっております。
 3.4号系列の発電施設では、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて発電機を駆動して発電するコンバインドサイクル方式を採用しており、ガスタービンの入口ガス温度を1300℃級とし、ガスタービンで仕事をした後の高温排気ガスを廃熱回収ボイラで有効利用することによって、従来の汽力発電方式に比べて、非常に高い熱効率53.9%を実現しております。
 以上のLNGの使用や高効率発電設備の利用により、弊社全体の火力総合熱効率の向上を図ることができ、燃料使用量や二酸化炭素排出量の削減に大きく寄与しています。

Q.発電燃料にLNGを使用し、クリーンな発電を行う川越火力発電所ですが、アメリカ発のシェールガスの普及による天然ガス市場の変化がコスト面に与える影響について教えてください。

(岩岡)
 シェールガスが今後アメリカで大量に生産され、アメリカのLNG輸入量が大幅に減少すれば、世界的なLNG市場のフローバランスが変化すると想定されます。このため、既存LNGプロジェクトの生産動向や新規LNGプロジェクトの開発動向等に加え、全体的なコストの変化など注視する点は多々出てくると思われます。
 年間1000万トン程度と大量のLNGを輸入している弊社としては、新しいガスの生産により資源の可採埋蔵量が増え、LNGが長期的、安定的に使用できるようになることは最大のメリットだと考えています。また、併せてコストが低下すれば、より安価に電気をお届けすることができるようになり、期待するところであります。

Q.中部電力株式会社と東邦ガス株式会社の共同事業である伊勢湾横断ガスパイプライン敷設がもたらす恩恵について。

(佐藤)
 平成20年に弊社と東邦ガス株式会社で、伊勢湾の海底下をシールドトンネルで横断する天然ガスパイプラインの共同敷設事業を開始いたしました。これにより、弊社はLNGを燃料とする火力発電所への燃料供給信頼度の向上、東邦ガス株式会社は都市ガス供給の安定性向上を共同敷設の目的としています。
 敷設ルートは弊社が川越火力発電所と知多エル・エヌ・ジー株式会社知多LNG事業所の間、東邦ガス株式会社が四日市工場と知多LNG共同基地の間となっており、基地間のバックアップ体制が整い、柔軟かつ効率的な運用が可能となります。また、共同敷設することで、シールドトンネルの共有等、合理的な設備形成が可能となるメリットがあります。
 尚、完工は平成25年度を予定しております。

【佐藤博之業務課長】
Q.中部電力株式会社の今後について。

(岩岡)
 弊社は、公益事業者としてエネルギーの安定的な供給とともに、地球温暖化対策として二酸化炭素の排出削減に積極的に取り組み、低炭素社会の実現に貢献することを重要な責務と認識しております。
 このため、安定供給・地球環境保全・経済性に配慮しながら、中長期的視点からバランスのとれた電源設備の形成、運用に努めるため、3つの具体的な方策を掲げています。
 まず第一に、安定供給と地球環境保全という観点から非常に優れる原子力発電の利用率の向上。
 次に、高効率のLNGコンバインドサイクルの導入と火力発電所全体の効率的な運用。
 そして、風力や太陽光など再生可能エネルギーの確実な建設です。
 一つ目の、原子力発電については、平成20年12月に「浜岡原子力発電所リプレース計画等」として、浜岡6号機の増設等の計画を公表いたしました。現在は、平成30年代前半の運転開始を目指し、皆様のご理解を得ながら、各種調査等を進めているところです。
 二つ目のLNGコンバインドサイクルの導入については、川越火力発電所のほかに挙げれば、四日市火力発電所、新名古屋火力発電所が運転をしていますし、現在、新潟県上越市に上越火力発電所の建設を進めており、平成24年度以降に順次運転を開始する予定であります。また、西名古屋火力発電所につきましても、平成31年度を目標に、現在の石油火力発電所をコンバインドサイクルユニットにリフレッシュする計画となっております。
 三つ目の再生可能エネルギーにつきましては、風力発電の建設を風況の良い三重県青山高原や静岡県御前崎市等にてグループ会社と一体となり進めております。また、太陽光発電については、愛知県の武豊火力発電所内、長野県飯田市で建設を進めているほか、静岡県清水区に建設する計画としており、積極的に進めていきます。

(佐藤)
 中部電力グループは、平成12年の電力自由化を契機に、お客さまの多様なニーズにお応えするため、従来の電気事業に加え、ガス・LNGおよびオンサイトエネルギーをご提供する「総合エネルギーサービス企業グループ」を目指しております。
 足元の電力需要は、徐々に回復の兆しは見えるものの、リーマンショックの影響による産業用大口電力の落ち込みにより、リーマンショック前の水準には回復しておりませんが、家庭用分野でのオール電化住宅の推進、業務用・産業用の厨房・空調などの電化の推進による電力需要の創出に努めてまいります。
 また、ガス・LNGやオンサイトエネルギー事業につきましては、おかげさまで右肩上がりに推移しており、引き続き目標達成に向けて努力してまいります。
 高効率で大容量の当発電所は、弊社火力発電所の安定的、経済的な運用という観点から、安全・安定操業が重要な責務でありますので、地域の皆様からの信頼を守りながら、より一層愛される発電所を目指していきたいと考えております。お近くにお越しの際は、ぜひ、PR施設「テラ46」や温水プールにもお立ち寄りください。

*注1 上記文面には中部電力株式会社が発行するニュースリリースの一文が含まれています。

<平成23年2月15日(火)更新>


  
  
回答者略歴
<氏名>
岩岡覚(いわおか さとし)
<所属部署及び役職>
設備管理長
<出身地>
愛知県岡崎市
<最終学歴>
慶應義塾大学理工学部
<氏名>
佐藤博之(さとう ひろゆき)
<所属部署及び役職>
業務課長
<出身地>
愛知県名古屋市
<最終学歴>
名古屋市立工業高等学校機械学科

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