「皇位は氏の継承」 新田・皇學館大教授が講演 伝統の重要性説く 三重

【講演する新田氏=津市大門の都シティ津で】

【津】伊勢新聞社政経懇話会5月例会が13日、三重県津市大門の都シティ津であった。皇學館大学の新田均教授(60)が「御代替わりにに伴う諸問題―元号、大嘗祭(だいじょうさい)、女性宮家―」と題して講演し、「われわれの家感覚は皇室とは当てはまらない」と話し、皇室に引き継がれる古代からの伝統を理解する重要性を説いた。

新田氏は皇室の継続について「世論では女性宮家を作ればいいという意見が8割ある」と紹介。血のつながりにおける現在の国民感覚を「自分は父方の祖父母とも母方の祖父母とも血はつながっていると考えるもの」と説明し、「古代以来の血筋、血統観に基づく皇室の伝統に当てはまらない」と指摘した。

古代の血筋、血統観については「父をたどる血筋の父系(男系)」と強調。中世以降に男女の婚姻を中心とした親子関係のつながりを、仲間と捉える感覚が生まれたことを紹介した。

また、継承の考え方を、血筋・血統による「氏」の継承と、家族で財産や職を継ぐ「家」の継承があることを説明し、「氏は始祖と直結して祭り主の地位を受け継ぐもの、家は継承者間の縁の近さと能力が大切」と話した。

その上で「皇位継承は家の継承ではなく氏の継承」と指摘。「皇位は日本でほぼ唯一古代の氏感覚で継承されてきた」と述べ、「近代以降の庶民感覚とは合わない」と言及した。

また、天皇固有の使命は天照大神を中心とした皇祖神や日本の神々を祭ることだとし、「祭り主の地位は初代の神武天皇の血筋に属する子孫にしか受け継げない。別の父系に属する物は受け継げない」と話した。

一方、父系尊重は女性差別になるという議論があることに触れ、「父系主義で排除されるのは別の父系の男性、民間女性は天皇の母になれるが民間男性は天皇の父にはなれない」と説明した。

新田氏は長野県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程に学ぶ。近代日本における政治と宗教の関係が専門。平成10年に「比較憲法学会・田上穰治賞」を受賞。平成29年に政府の「天皇の公務の負担軽減に関する有識者会議」で意見陳述した。