2019年4月4日(木)

▼新元号の名称が発表されたというだけで、共同通信社の電話調査による内閣支持率が前回3月調査に比べては9・5ポも跳ね上がったというのだから人の気持ちというのは分からない。これまでの政権評価は何だったのかという気もしてくる

▼「平成」の時は、崩御に伴ったことで国民すべてが天皇家とともに殯(もがり)に突入したみたいなことになり、いいの悪いどころではない。〝喪〟明けた時は平成が粛々と進んでいた

▼「令和」がお祭り騒ぎを誘導し、国民経済を活気に導く気配で、おまけに政権の支持率も上昇するなどは、安倍晋三首相にしても想定外で、うれしい誤算なのではないか

▼来年は、確実に国民浮揚が計算できるオリ・パラが待っている。四選戦略も頭の中に浮かんでこないとも限らぬが、盛り上がらないという知事選に何が欠けているか、分かるような気もしてくる。本紙企画『みえの平成史』を見ても、県民の気持ちが最も盛り上がったのは伊勢志摩サミットだろう

▼県には式年遷宮のビッグイベントがあるが、世界主要七カ国首脳が一堂に会す豪華さで県民の心をわしづかみにした。振興策ということでは、県がめざした「まつり博」があるが、効果は天と地ほどの差だ

▼難しさもそこにある。ポスト・サミットは、サミットの前後を通じた県の課題だったが、知事選では語られない。県民の潜在意識の物足りなさを推量する。